HEALTH WORDS / 用語解説
NTRK1
NTRK1とは、神経成長因子(NGF)の高親和性受容体であるTRKAをコードする遺伝子であり、ヒトの第1染色体の長腕(1q21-q22)に位置している。1 2
NTRK1遺伝子によって産生されるTRKA(Tyrosine kinase receptor A)は、チロシンキナーゼ受容体ファミリーに属する膜受容体である。1 2
この受容体は、特に感覚神経や交感神経の細胞の生存、分化、および機能維持において極めて重要な役割を果たしている。1
NTRK1遺伝子の変異や異常は、様々な疾患の原因となることが知られている。1
その代表的なものとして、先天性無痛無汗症(CIPA:Congenital Insensitivity to Pain with Anhidrosis)が挙げられる。1
先天性無痛無汗症は常染色体劣性遺伝形式をとる遺伝性疾患であり、NTRK1遺伝子の機能喪失変異によってTRKAのシグナル伝達が阻害され、痛覚や温度覚の伝達に必要な神経細胞が正常に発育・維持されないために引き起こされる。1
染色体の転座などによってNTRK1遺伝子が他の遺伝子と融合すると、恒常的に活性化された融合蛋白が生成され、これががん原遺伝子として作用する。2
このようなNTRK1遺伝子融合は、甲状腺癌、肺癌、大腸癌など様々な悪性腫瘍において検出されることがある。2
近年では、NTRK1を含むNTRK遺伝子融合を標的とした分子標的薬(TRK阻害薬)の開発が進められており、がん治療分野において重要なバイオマーカーの一つとして位置づけられている。2