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HEALTH WORDS / 用語解説

SOX10

SRY-box transcription factor 10

SOX10とは、神経堤細胞およびオリゴデンドロサイトの分化、発生、ならびに生存において中心的な役割を果たす転写因子である。1 HMGドメインと呼ばれるDNA結合ドメインを保持しているSOXファミリーのタンパク質の一つであり、染色体上の22q13.1に遺伝子が位置している。1

胎生期の発生段階において、SOX10は神経堤から派生する多様な細胞種、例えば末梢神経系のシュワン細胞やメラノサイト、顔面の軟骨・骨組織の前駆細胞などの分化を誘導および維持するために不可欠な因子として機能する。2 特にメラニン合成を制御する遺伝子の発現を調節することでメラノサイトの機能や分化を直接的に支えており、これが色素細胞の正常な維持に寄与している。1 また、中枢神経系においては髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトの分化や成熟の過程でも極めて重要な役割を担っている。2

臨床医学および遺伝学の領域において、SOX10遺伝子の変異はワールデンブルグ症候群(Waardenburg syndrome)の主要な原因の一つとして知られている。1 この疾患は常染色体優性遺伝形式をとり、難聴や虹彩異色症、頭髪の白髪化などの色素異常を特徴とするほか、神経堤由来の組織に異常をきたすことがある。1 さらに、SOX10の変異や欠失がより広範な神経発達障害や脱髄性疾患、あるいは腸管の神経節が先天性に欠損するヒルシュスプルング病を合併する重篤な症候群を引き起こすことも報告されている。1

腫瘍学の分野では、SOX10は悪性黒色腫(メラノーマ)や末梢神経鞘腫瘍などの診断における非常に特異性の高い免疫組織化学的マーカーとして広く臨床応用されている。3 組織診において、転移巣不明の悪性腫瘍や他の癌腫との鑑別診断を行う際、SOX10の発現を確認することは病理診断の精度を向上させる上で極めて有用である。3

参考文献・出典

  1. Genetics Home Reference: https://medlineplus.gov/genetics/gene/sox10/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1114/ ↩1 ↩2
  3. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4266854/ ↩1 ↩2