HEALTH WORDS / 用語解説
ULK1
ULK1とは、哺乳類におけるオートファジー(自食作用)の初期段階を誘導する中心的なセリン・スレオニンキナーゼである1。 酵母のAtg1のホモログであり、細胞内の栄養飢餓やストレスに応答して活性化することで知られている2。
ULK1は、タンパク質のリン酸化を介してオートファジーの誘導と小胞体からの隔離膜の形成において不可欠な役割を担っている1。 細胞がアミノ酸不足やエネルギー枯渇などの環境ストレスにさらされた際、mTORC1(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体1)による抑制的リン酸化が解除されるか、あるいはAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)によって直接リン酸化されることでULK1は活性化する2。
活性化したULK1は、Atg13、FIP200、ATG101といった他の分子と複合体を形成し、ターゲットとなる膜部位へ移行する1。 このULK1複合体は、下流のPI3K複合体を活性化させることで、オートファジーの開始に必要なホスファチジルイノシトール3-リン酸の生成を促し、最終的にオートファゴソームの形成へと繋がる2。
ULK1の機能異常や発現変化は、細胞内の恒常性維持の破綻を引き起こす要因となる1。 特にがん、神経変性疾患、代謝疾患などの様々な病態において、オートファジーを制御するULK1は重要な創薬標的の一つとして盛んに研究が行われている2。
参考文献・出典
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/8408 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- Protein Data Bank Japan: https://pdbj.org/mine/summary/4wss ↩1 ↩2 ↩3 ↩4