ホームVEGF-B

HEALTH WORDS / 用語解説

VEGF-B

VEGF-Bとは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ファミリーに属する糖タンパク質であり、主に胎児発育や心臓をはじめとする代謝が活発な組織において血管の維持や生存に関与する生理活性物質である。1

VEGF-BはVEGF-AやPIGFといった他のVEGFファミリー分子と同様に、システイン結び目構造を持つ分泌蛋白として細胞外に放出される。2

ヒトにおけるVEGF-Bをコードする遺伝子は染色体11q13に位置しており、選択的スプライシングによって異なるアイソフォームであるVEGF-B167とVEGF-B186の2種類のタンパク質が生成される。1

このうちVEGF-B167が主要な型であり、細胞膜上のヘパラン硫酸プロテオグリカンや細胞外基質に強く結合する性質を持つ一方で、VEGF-B186は蛋白分解酵素による切断を受けやすい可溶性の性質を示す。2

VEGF-Bは、主として受容体であるVEGFR-1(Flt-1)およびニューロピリン-1(NRP-1)に特異的に結合してシグナル伝達を引き起こす。1

VEGF-Aが強力な血管新生作用を示すのに対し、VEGF-Bの血管新生に対する作用は比較的弱く限定的であるが、血管や神経の細胞死を防ぐ生存因子としての役割が注目されている。2

特に成人期においては、骨格筋や心筋、褐色脂肪組織などのエネルギー代謝が高い臓器において高発現しており、脂肪酸の取り込みや輸送に関与する分子の制御を通じて脂質代謝に深く関与していることが明らかにされている。2

近年の基礎医学および臨床医学の研究においては、VEGF-Bのシグナル経路を標的とすることが、虚血性心疾患や心不全、糖尿病に伴う代謝異常などの疾患に対する新たな治療戦略につながる可能性として期待されている。2

参考文献・出典

  1. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/7423 ↩1 ↩2 ↩3
  2. PubMed Central: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4367988/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5