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HEALTH WORDS / 用語解説

iSNP

iSNP

iSNPとは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)等の研究において、統計的解析手法を用いて遺伝子型のデータからインピュテーション(補外・推定)される一塩基多型(SNP)のことである。1 DNAマイクロアレイを用いた直接的な genotyping(ジェノタイピング)では測定されていない遺伝子マーカーであっても、参照パネル(リファレンスパネル)を用いることで統計学的にその塩基配列上の多型を予測・推計することが可能となる。2

現代の集団遺伝学やゲノム医学において、疾患感受性遺伝子の同定や表現型に関与する遺伝的変異を網羅的に探索するためには、非常に高密度な遺伝子情報が必要とされる。1 しかし、すべてのサンプルに対して全ゲノム領域を直接シークエンシングすることや高価なアレイを高密度化することは、コストや手間の面で制限が生じる場合がある。2 そこで、1000人ゲノムプロジェクトなどの大規模国際プロジェクトによって整備された詳細なハプロタイプ構造や連鎖不平衡(LD)のデータベースを参照パネルとして活用し、観測されたSNPのデータから未観測のSNP(iSNP)をインピュテーションする手法が広く普及した。1

iSNPの精度は、参照パネルのサンプルサイズや集団の祖先背景、対象集団と参照パネルの遺伝的距離、さらには標的となる多型のマイナーアレル頻度(MAF)などに大きく依存する。2 一般に、頻度が低い変異や集団特異的な変異においては、適切な参照パネルが存在しない場合や情報が不足している場合に推計の不確実性が高まることがある。1 そのため、[[統計的ソフトウェア(MACH、BEAGLE、IMPUTEなど)を用いて得られたインピュテーションの品質スコア(INFOスコアなど)を確認し、信頼性の低いiSNPを解析から除外するなどの品質管理(QC)がデータ解析のプロセスにおいて厳格に実施される。2

iSNPを活用したインピュテーションの導入により、異なるプラットフォームで genotypingされた複数のGWASデータセット同士をメタ分析の際に統合することが容易になった。1 これにより、直接測定されていない原因遺伝子の特定や、これまで検出できなかった微小効果を持つ遺伝的変異の関連性を発見することが可能となり、複雑形質や多因子疾患の遺伝的基盤の解明に大きく貢献している。2

参考文献・出典

  1. NCBI PMC: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2926799/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. Nature Methods: https://www.nature.com/articles/nmeth.1293 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5