HEALTH WORDS / 用語解説
p16
p16
p16とは、細胞周期の進行を制御するサイクリン依存性キナーゼ阻害因子の一つであり、INK4ファミリーに属するタンパク質である。1 2
p16遺伝子(CDKN2A遺伝子)は、ヒトの第9染色体短腕(9p21)に位置しており、細胞周期のG1期からS期への移行を抑制する働きを持つ。2
正常細胞において、p16はサイクリン依存性キナーゼであるCDK4およびCDK6と結合し、それらの活性を特異的に阻害する。1 2
これにより網膜芽細胞腫タンパク質(Rbタンパク質)のリン酸化が防がれ、E2F等の転写因子の活性化が抑えられるため、細胞はDNA合成を行うS期へ進むことができなくなる。2
このような分子メカニズムを通じて、p16は過剰な細胞分裂や増殖を食い止めるがん抑制遺伝子の産物として非常に重要な役割を果たしている。1 2
また、p16は細胞老化(セレッセンス)のバイオマーカーとしても広く知られている。3
DNA損傷や酸化ストレス、癌遺伝子の活性化などのストレスが細胞に加わると、細胞老化が誘導され、その過程でp16の発現量が著しく増加する。3
加齢に伴い、さまざまな組織や臓器においてp16を発現する老化細胞が蓄積することが確認されており、個体の老化の度合いを測る指標の一つとして研究が進められている。3
一方で、多くのヒトの悪性腫瘍(がん)においては、CDKN2A遺伝子の変異、欠失、あるいはプロモーター領域のメチル化によるエピジェネティックな不活化が頻繁に観察される。1 2
p16の機能喪失は細胞周期の制御異常を招き、腫瘍化やがん細胞の無秩序な増殖を促進する要因となるため、腫瘍病理学の分野でも極めて重要な分子標的となっている。1 2