HEALTH WORDS / 用語解説
Ⅱ型肺胞上皮細胞
Type II alveolar epithelial cell
Ⅱ型肺胞上皮細胞とは、肺の肺胞に存在する上皮細胞の一種であり、サーファクタントの合成および分泌を担う立方型の細胞である。12
哺乳類の肺のガス交換領域である肺胞壁は、主にI型肺胞上皮細胞とII型肺胞上皮細胞という2種類の上皮細胞によって覆われている。2
I型肺胞上皮細胞が肺胞表面積の大部分を占め、極めて薄い形態をとることで酸素や二酸化炭素などのガス交換を効率的に行う役割を果たしているのに対し、II型肺胞上皮細胞は肺胞全体の表面積の割合としては小さいものの、肺胞構造の維持や生体防御において極めて重要な機能を担っている。2
II型肺胞上皮細胞の最も主要な機能の一つは、肺サーファクタントの生合成、貯蔵、および分泌である。2
肺サーファクタントは主に脂質とタンパク質から構成される複合体であり、肺胞の内面に薄い液層として広がることで表面張力を著しく低下させる働きを持つ。2
これにより、呼息時における肺胞の虚脱が防止され、呼吸運動に必要なエネルギーが軽減されるとともに、肺胞の安定性が保たれている。2
細胞内にはラメラ体と呼ばれる特徴的な構造物が存在し、このラメラ体の内部に肺サーファクタントの成分が蓄えられており、開口分泌によって肺胞腔へと放出される。2
さらに、II型肺胞上皮細胞は肺胞領域における幹細胞としての機能も有している。2
感染症や薬剤、物理的損傷などによってI型肺胞上皮細胞が障害を受けて脱落した際には、II型肺胞上皮細胞が増殖を開始し、自らを補うとともにI型肺胞上皮細胞へと分化することによって肺胞上皮の修復と再生に寄与する。2
この再生過程は肺の組織学的外傷からの回復において不可欠であり、呼吸器疾患の病態生理を理解する上で重要な要素となっている。2
加えて、II型肺胞上皮細胞は免疫応答や炎症の調節にも関与している。2
サイトカインやケモカインなどを産生・分泌する能力を持ち、肺胞内のマクロファージをはじめとする免疫細胞と相互作用しながら、病原体の侵入に対する生体防御網の一部として機能している。2
このように、II型肺胞上皮細胞は肺サーファクタントの供給による物理的環境の維持だけでなく、肺組織の再生修復および局所免疫の制御という多面的な役割を担うことによって、呼吸器系の恒常性維持に中心的な役割を果たしている。((厚生労働省 難治性呼吸不全調査研究班「特発性間質性肺炎の診断と治療の手引き」: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-