HEALTH WORDS / 用語解説
アドレナリン受容体キナーゼ
Adrenergic receptor kinase
アドレナリン受容体キナーゼとは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のリン酸化を触媒するセリン・スレオニンキナーゼファミリーの酵素であり、現在は主にGタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)と呼ばれる一群の蛋白質を指す。1
アドレナリン受容体キナーゼは、カテコールアミンなどのアゴニスト刺激によって活性化されたアドレナリン受容体などのGタンパク質共役受容体を特異的にリン酸化する機能を持つ。2
このリン酸化という生化学的反応により、受容体とGタンパク質との相互作用が阻害され、受容体の機能が一時的に抑制される脱感作と呼ばれる現象が引き起こされる。2
アドレナリン受容体キナーゼによってリン酸化された受容体には、続いてアレスチンという細胞質側の蛋白質が結合し、受容体のシグナル伝達が完全に不活性化されるとともに、エンドサイトーシスを介して細胞内へと取り込みが行われる。1
哺乳類の生体内においては、アドレナリン受容体キナーゼにはいくつかのアイソフォームが存在することが知られており、特に最初期に発見されたものはGRK2およびGRK3として分類されている。1
これらのキナーゼは細胞質内に存在しているが、受容体が活性化されると、Gタンパク質のβγサブユニット複合体との結合を介して細胞膜へと移行し、効率的に受容体をリン酸化する仕組みを持っている。2
心臓組織においては、βアドレナリン受容体のシグナル伝達経路の調節においてアドレナリン受容体キナーゼが極めて重要な役割を果たしており、心不全などの病態時にはその発現量や活性が異常に亢進することが報告されている。2
このように、アドレナリン受容体キナーゼは単なる酵素としての機能にとどまらず、循環器系疾患の病態解明や、新たな創薬ターゲットとしても高い医学的・生物学的関心を集めている分子である。1
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907026732415174 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902045585641774 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4