HEALTH WORDS / 用語解説
上気道炎症
Upper airway inflammation
上気道炎症とは、鼻腔、副鼻腔、咽頭、喉頭といった上気道の粘膜に生じる炎症の総称である。1 上気道は外界の空気と直接接触するため、ウイルスや細菌などの病原体、あるいはアレルゲンなどの外来異物に常に晒されている部位であり、これらが粘膜に侵入あるいは刺激を与えることで炎症反応が引き起こされる。2
上気道炎症の主な原因としては、ライウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルス感染症が最も頻度が高い。3 また、連鎖球菌などの細菌による二次感染が生じることもあり、これらが上気道の上皮細胞に付着・増殖することで免疫細胞が動員され、局所に発赤、腫脹、熱感、疼痛といった炎症の四徴が発現する。4
臨床的には急性上気道炎(感冒症候群)として現れることが多く、主な症状には鼻汁、鼻閉、咽頭痛、咳嗽、嗄声、発熱などが挙げられる。5 解剖学的に上気道は下気道と連続しているため、炎症が気管や気管支へと波及する場合には、下気道炎や肺炎などの合併症を引き起こすリスクがある。6
診断にあたっては、詳細な問診および身体診察によって上気道の粘膜の状態や分泌物の性状を確認する。7 病原体の特定が必要な場合には、咽頭拭い液を用いた迅速抗原検出キットやPCR検査などの微生物学的検査が実施されることがある。8
治療の中心は対症療法であり、発熱や疼痛に対しては解熱鎮痛薬が用いられ、咳嗽や鼻汁に対してもそれぞれの症状を緩和する薬剤が投与される。9 細菌感染が強く疑われる場合や合併症を併発しているケースでは、抗菌薬の投与が検討されるが、ウイルス性の上気道炎症に対しては抗菌薬は無効であるため使用されない。10
参考文献・出典
- 南山堂 医学大辞典: https://www.nanzando.com/ ↩
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル ↩
- 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/ ↩
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会: https://www.jibika.or.jp/ ↩
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/ ↩
- 日本呼吸器学会: https://www.jrs.or.jp/ ↩
- 日本感染症学会: https://www.idsc.nih.go.jp/ja/ ↩
- 国立健康・栄養研究所: https://www.nibiohn.go.jp/ ↩
- 日本薬剤師会: https://www.pharmacy.or.jp/ ↩
- 日本化学療法学会: https://www.chemotherapy.or.jp/ ↩