ホーム作用発現時間

HEALTH WORDS / 用語解説

作用発現時間

Onset of action

作用発現時間とは、薬物を投与してから、それが生体内で薬理作用を示し始めるまでの時間を指す薬物動態学上の重要な指標である。1

この時間は、投与経路や剤形、薬物の物理化学的性質など、さまざまな要因によって大きく変動する。一般に、静脈内注射などの非経口投与は経口投与に比べて吸収のプロセスを伴わないか、あるいは短縮されるため、作用発現時間が短くなる傾向にある。2

薬物が投与されてからその効果が発現するまでには、消化管などからの吸収、血中への移行、標的器官や受容体への分布といった複数の段階を経る必要がある。生体膜を通した透過性や、血漿蛋白結合率の高さも、有効成分が作用部位に到達する速度に影響を与えるため、結果として作用発現時間に影響を及ぼす。3

臨床医学や薬理学の分野において、作用発現時間の把握は治療薬の選択や緊急時の処置において極めて重要である。例えば、救急医療の現場や麻酔科学の領域では、血圧降下薬や鎮痛薬、筋弛緩薬などの迅速な効果が求められるため、作用発現時間が短い医薬品が選択されることが多い。4

逆に、慢性疾患の治療などにおいて、持続的な効果を目的とする場合には、作用発現時間が比較的緩徐である薬剤が用いられることもある。このように、個々の薬剤の作用発現時間を理解することは、薬物治療の有効性と安全性を最適化するために欠かせない要素となっている。5

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906019253457199 ↩
  2. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/files/000213197.pdf ↩
  3. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/other/index.html ↩
  4. 一般社団法人 日本麻酔科学会: https://anesth.or.jp/ ↩
  5. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/ ↩