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HEALTH WORDS / 用語解説

先天性難聴

Congenital hearing loss

先天性難聴とは、出生時または出生直前にすでに存在している聴覚の障害のことである。厚生労働省や国立成育医療研究センターなどの公的機関の見解によれば、新生児における先天性難聴の発生頻度は出生1,000対およそ1〜2人とされており、小児期に発見される感音難聴の中で最も頻度の高い疾患の一つである。聴覚は言語の獲得やコミュニケーション能力の発達において極めて重要な感覚であるため、早期の発見と適切な療育が患者の予後を大きく左右するとされている。1

先天性難聴の原因は大きく遺伝子性要因と非遺伝子性要因に分類される。およそ半数から6割程度が遺伝的な要因によるとされており、その大部分は常染色体劣性遺伝(常染色体潜性遺伝)形式をとる非症候群性難聴である。これまでにGJB2(コネキシン26)遺伝子をはじめとする多くの原因遺伝子が同定されており、遺伝子検査によって診断が行われることもある。一方、非遺伝子性の要因としては、妊娠中の母体における感染症(風疹、サイトメガロウイルス、トキソプラズマなど)の垂直感染や、周産期における低酸素症、核黄疸、あるいは聴覚毒性を有する薬剤の投与などが挙げられる。サイトメガロウイルス感染症は、先天性感染症の中でも頻度が高く、無症状のまま出生した新生児であっても進行性の難聴を引き起こす主要な原因となることが知られている。2

先天性難聴の臨床的な病態としては、内耳の蝸牛や聴神経の形態異常あるいは機能不全が挙げられ、その多くは音の振動を電気信号に変換する有毛細胞の障害に起因する感音難聴である。難聴の程度は、軽度から重度・全聾までさまざまであり、聴力の閾値に応じて補聴器の装用や人工内耳の植込術などの聴覚補償が選択される。新生児聴覚スクリーニングの普及により、出生後早期に自動聴性脳幹反応(AABR)や耳音響放射(OAE)を用いた検査が行われ、生後数ヶ月以内の早期発見が可能となっている。早期に介入を受けることで、児の言語発達や精神的な社会適応への影響を最小限に抑えることが可能であり、小児科、耳鼻咽喉科、言語聴覚士、臨床遺伝専門医などによる多職種連携が治療および療育において不可欠である。3

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-net.mhlw.go.jp/information/heart/h_04_003.html ↩
  2. 国立成育医療研究センター: https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/congenital_cmv.html ↩
  3. 小児慢性特定疾病情報センター: https://www.shouman.jp/disease/details/08_04_023/ ↩