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HEALTH WORDS / 用語解説

内因性FXase複合体

Intrinsic Tenase Complex

内因性FXase複合体とは、血液凝固の内因系カスケードにおいて、第IXa因子(FIXa)と第VIIIa因子(FVIIIa)がカルシウムイオン($Ca2+$)の存在下でリン脂質膜上に形成する酵素複合体である12。その主要な生理学的役割は、第X因子(FX)を限定分解して活性化型である第Xa因子(FXa)へと変換することである1。名称の「FXase」は第X因子(Factor X)を活性化する酵素(ase)に由来し、外因性FXase複合体(組織因子と第VIIa因子からなる複合体)に対比して内因性FXase複合体と呼ばれている2。

この複合体の形成と酵素反応には、血小板や細胞の損傷部位に露出するホスファチジルセリンなどの酸性リン脂質膜表面が不可欠な反応場として関与している1。FIXaはセリンプロテアーゼとしての触媒ドメインを持つ酵素本体であるが、単独での第X因子に対するタンパク質分解酵素としての活性は非常に低い1。そこに補因子であるFVIIIaが結合することで、FIXaの酵素活性が数千倍から数万倍に飛躍的に増強される仕組みになっている1。

FVIIIa自体は非常に不安定なタンパク質であり、血液循環中では不活性化を受けやすい特性を持つ2。生体内では、トロンビンなどのプロテアーゼによる第VIII因子(FVIII)の限定分解によって一時的にFVIIIaが生成され、速やかに内因性FXase複合体の形成へと利用される2。また、FIXaも前駆体である第IX因子が第XIa因子や外因性FXase複合体によって活性化されることで供給されるため、この複合体の形成には先行する血液凝固反応の緻密な制御が深く関わっている1。

内因性FXase複合体によって産生されたFXaは、さらに第Va因子とともにプロトロンビンアーゼ複合体を形成し、プロトロンビンをトロンビンへと変換する反応を誘導する1。トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンへと変換して堅固な血栓(フィブリン血栓)を形成させるため、内因性FXase複合体は止血メカニズムおよび血液凝固の増幅ステップにおいて極めて中心的な役割を担っている12。

臨床医学の領域において、この複合体を構成する第VIII因子や第IX因子の遺伝的欠損や機能異常は、それぞれ血友病Aおよび血友病Bという重篤な出血性疾患の原因となることが知られている2。これらの疾患では内因性FXase複合体が正常に機能しないため、第X因子の十分な活性化が行われず、血液凝固時間が著しく延長し出血傾向が引き起こされる2。

参考文献・出典

  1. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/52/3/52_138/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. An Illustrated Dictionary of Laboratory Medicine: https://webview.isho.jp/cover/cv?id=kenrinetpr*2011039864 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7