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HEALTH WORDS / 用語解説

分子イメージング

Molecular Imaging

分子イメージングとは、生体内の生体分子や細胞レベルの生物学的プロセスを、生きた状態のまま非侵襲的に視覚化し、定量化するための画像診断技術および学術領域である。1 従来の画像診断が解剖学的な形態変化や病変の大きさの検出を主目的としていたのに対し、分子イメージングは遺伝子、タンパク質、酵素、受容体などの分子レベルでの働きや変化を捉えることを可能にする点が大きな特徴である。2

分子イメージングの基本的な原理は、観察したい生体分子や生化学的反応に特異的に結合あるいは反応するプローブ(分子プローブ)を生体に投与し、それが発するシグナルを体外から検出器によって捉えることにある。3 用いられるモダリティには、陽電子放射断層撮影(PET)、単一光子放射断層撮影(SPECT)、磁気共鳴画像法(MRI)、光学的イメージング(蛍光イメージングや生物発光イメージング)、超音波イメージングなどが含まれる。1 特にPETやSPECTといった核医学的手法は、微量の放射性同位元素で標識された放射性医薬品を用いることで、ナノモル濃度といった極めて高感度に生体内の分子動態を測定できるため、分子イメージングの中核的な技術として広く活用されている。2

この技術の臨床的および基礎医学的な応用範囲は極めて広範であり、代表的な分野としてがんの早期診断、悪性度の評価、治療効果の早期判定が挙げられる。1 例えば、がん細胞の活発な糖代謝を反映するFDGを用いたPET検査は、多くの悪性腫瘍の検出や転移・再発の診断に不可欠な臨床検査となっている。1 また、アルツハイマー病などの神経変性疾患において、脳内のアミロイドベータやタウタンパク質の蓄積を可視化することで、認知症の早期診断や鑑別診断を行う試みも臨床応用が進んでいる。3

さらに、分子イメージングは医薬品開発(創薬)のプロセスにおいても極めて重要な役割を果たしている。2 薬物動態学の評価において、開発中の薬剤が標的とする受容体や分子にどの程度結合しているかを非侵襲的にライブ imagingすることで、薬効の評価や臨床試験の効率化、最適投与量の決定に貢献している。2 このように、分子イメージングは基礎生物学の解明から臨床医学、創薬研究に至るまで、トランスレーショナルリサーチを支える基盤技術として発展を続けている。3

参考文献・出典

  1. 国立がん研究センター 希少がんセンター: https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/molecular_imaging/index.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. NIBIOHN 医薬基盤・健康・栄養研究所: https://www.nibiohn.go.jp/nemery/about/molecular-imaging.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  3. 科学技術振興機構(JST): https://www.jst.go.jp/PR/jst-news/pdf/2012/2012_05_p06-07.pdf ↩1 ↩2 ↩3