HEALTH WORDS / 用語解説
妊娠合併症
Pregnancy complications
妊娠合併症とは、妊娠に伴って母体や胎児、あるいはその両方に生じる健康上の異常や疾患全般のことである。1 正常な経過をたどる妊娠とは異なり、母体の生命や健康、さらには胎児の発育や生存に対して重大な影響を及ぼす可能性があるため、適切な医療介入と厳重な管理が求められる病態である。2
妊娠合併症には非常に多岐にわたる疾患が含まれており、その発症時期や病態、原因も様々である。 代表的なものとして、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、切迫早産、前置胎盤、常位胎盤早期剥離などが挙げられる。3 これらの疾患は、妊娠前には健康であった女性においても突発的に発症することがあり、妊婦健診における定期的な検査や血圧測定、尿検査などを通じて早期に発見されることが極めて重要となる。2
妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降に高血圧を発症するものであり、蛋白尿を伴うことが多い。 重症化すると母体の脳出血や肝機能障害、腎機能障害を引き起こすほか、胎児発育不全や胎児機能不全の原因となるため、入院管理や降圧薬の投与など厳格な治療が必要となる。3
妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見または発症した耐糖能異常であり、糖代謝異常によって巨大児や羊水過多、さらには新生児低血糖などの合併症を引き起こすリスクを高める。2 食事療法や運動療法、必要に応じてインスリン療法を用いて血糖値を適切にコントロールすることが不可欠である。3
また、切迫早産は妊娠22週から37週未満の時期に子宮収縮(陣痛)が頻発し、早産の一歩手前の状態になる合併症である。 安静保持や子宮収縮抑制薬の投与により、妊娠継続期間を延ばすための治療が行われる。2 前置胎盤は胎盤が正常な位置よりも下方に存在し、子宮口を塞いでしまう状態であり、妊娠後期における突然の性器出血を引き起こす危険性があるため、多くの場合帝王切開による分娩が選択される。3
このように、妊娠合併症は母児の予後に多大な影響を及ぼすため、産婦人科医をはじめとする医療従事者によるチーム医療体制のもと、専門的な診断と治療、周産期管理が行われる。2 妊娠期における身体の変調を軽視せず、速やかに医療機関を受診し適切な指導を受けることが、母子保健上極めて重要である。1
参考文献・出典
- 厚生労働省:母子保健課: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken.html ↩1 ↩2
- 国立成育医療研究センター: https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/maternal.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 厚生労働省:女性の健康推進室: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/boshi-hoken/female-health.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4