HEALTH WORDS / 用語解説
妊娠期
Pregnancy
妊娠期とは、受精卵が子宮内膜に着床してから分娩に至るまでの期間であり、母体の体内において胎児が発育・成熟する一連の生理的な過程を指す。1
ヒトの正常な妊娠期間は最終月経の開始日を起点として計算され、その持続期間は通常約40週(280日)とされている。2
妊娠期は臨床的および発生学的に、それぞれ約3ヶ月間(13〜14週間)の3つの期間(妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期)に区分される。2
妊娠初期は受精から第13週末までの期間であり、この時期は器官形成期と呼ばれ、胎児の主要な臓器や器官の原基が急速に形成される極めて重要な段階である。2
この期間中は催奇形物質や感染症などの外的要因が胎児の形態形成に与える影響が最も大きいため、特段の注意が必要とされる。3
妊娠中期は第14週から第27週末までの期間を指し、この時期に入ると胎児の発育がさらに進み、胎盤が完全に機能して母体と胎児の間の物質代謝が安定する。2
母体においては妊娠初期にみられた悪阻などの不快な症状が軽減することが多く、胎動を初めて自覚する時期でもある。1
妊娠後期は第28週から分娩に至るまでの期間であり、胎児の肺や中枢神経系などの機能が最終的な成熟を迎え、出生後の生存に向けた準備が整う段階である。2
この時期の母体には子宮の増大に伴う循環器系や呼吸器系への大きな生理的な負荷がかかり、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症に対する厳重な健康管理と周産期管理が求められる。4
妊娠期を通じて母体の内分泌系は劇的に変化し、エストロゲンやプロゲステロンをはじめとするホルモンの分泌量が著しく増加する。2
これらのホルモンは子宮の平滑筋の増大や乳腺の発達を促す一方で、母体の免疫系や代謝機能にも広範な影響を及ぼし、胎児を異物として免疫学的に排除しないための免疫寛容という生体防御メカニズムが維持される。4
また、栄養管理の面では、胎児の骨格形成や血液量の増加に対応するため、葉酸、鉄分、カルシウムなどの栄養素の需要が増大し、母子保健の観点から適切な栄養指導と妊婦健診が継続的に実施される。3
参考文献・出典
- 厚生労働省e-17ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-005.html ↩1 ↩2
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/婦人科疾患/正常な妊娠/妊娠の経過 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kosodate/母子保健/index.html ↩1 ↩2
- 国立成育医療研究センター: https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/index.html ↩1 ↩2