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HEALTH WORDS / 用語解説

行動解析

Behavioral Analysis

行動解析とは、モデル生物やヒトなどの個体が示す行動を、定量的かつ客観的に観察・測定・評価する一連の実験手法および解析プロセスのことである。1 神経科学、薬理学、心理学、遺伝学などの幅広い医学・生物学分野において、脳機能の解明や疾患モデル動物の表現型解析、薬剤のスクリーニングなどに広く用いられている。2

行動解析の歴史的背景として、古くは観察者による目視やストップウォッチを用いた手動での記録が主流であった。 しかし、計算機科学や映像処理技術の飛躍的な進歩に伴い、現在ではビデオカメラ等で撮影した動画から、コンピュータソフトウェアを用いて自動的に個体の位置や軌跡、姿勢を追跡するシステムが一般的に導入されている。 これにより、主観的なバイアスを排除し、長時間の連続測定や膨大なデータの高速処理が可能となった。2

行動解析の対象となる行動のレパートリーは非常に多様であり、目的に応じて数多くの試験系が設計・確立されている。 代表的なパラダイムとして、新奇環境に対する探索行動や不安様行動を評価するオープンフィールド試験、げっ歯類における空間記憶や学習能力を検証するモリスの水迷路試験、恐怖条件付けによる記憶の形成・消去を調べる試験などが挙げられる。 また、社会的行動、摂餌行動、睡眠・覚醒サイクル、さらには運動機能を評価するロータロッド試験なども頻繁に実施される。1

これらの行動データは、遺伝子改変動物(例えばノックアウトマウス)の表現型解析において、特定の遺伝子が個体の高次脳機能や生理機能に果たす役割を特定する上で不可欠な情報をもたらす。 さらに、中枢神経系に作用する精神神経用薬などの新薬開発プロセスにおいては、薬物が動物の行動に与える影響や副作用を評価するための強力なツールとして機能する。2

近年の技術革新により、単一の個体の追跡にとどまらず、ディープラーニングを活用した姿勢推定技術(DeepLabCutなど)を用いて、動物の微細な身体部位の動きや、複数個体間の社会的相互作用を高精度かつ立体的に解析することが可能になりつつある。 行動解析から得られる多次元的なデータと、神経活動を同時記録するin vivoイメージングや電気生理学的計測データとを統合することにより、脳の神経回路ダイナミクスと行動との因果関係を解明する研究が国内外で精力的に進められている。1

参考文献・出典

  1. 生命科学系データベースアーカイブ: https://dbarchive.biosciencedbc.jp/jp/togodb/entry/komeri_behavior.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I023840502-00 ↩1 ↩2 ↩3