HEALTH WORDS / 用語解説
左鎖骨下静脈
left subclavian vein
左鎖骨下静脈とは、上肢からの血液を心臓へと還流させる主要な血管であり、第1肋骨の外側縁から胸鎖関節の後方にかけて走行し内頸静脈と合流して腕頭静脈を形成する静脈である。1
人体の解剖学的な構造において、左鎖骨下静脈は腋窩静脈の移行部として鎖骨の下方かつ深部に位置している。 右側の同名静脈と比較して、左鎖骨下静脈は胸管が流入するという重要な機能的特徴を有している。 胸管は全身の大部分から回収されたリンパ液を血管系へと戻す最大のリンパ管であり、通常は左鎖骨下静脈と左内頸静脈の合流部(静脈角)へと開口している。
臨床医学および救急医療の領域において、左鎖骨下静脈は中心静脈路確保の重要な穿刺部位の一つとして広く認識されている。 中心静脈カテーテルの留置は、長期栄養管理、薬物療法、血液採取、あるいは中心静脈圧測定などの目的で行われる。 しかしながら、鎖骨下静脈穿刺は解剖学的に胸膜頂や肺の尖部、さらに動脈などの近接する重要組織が存在するため、気胸や血胸、動脈損傷といった合併症のリスクを伴う手技である。 そのため、超音波診断装置(エコー)を用いたガイド下穿刺などにより、安全性を高める試みがなされている。
また、血管造影検査や画像診断においても左鎖骨下静脈の走行や血流の評価は重要である。 血栓症や狭窄といった病態が生じた場合、上肢の浮腫や側副血行路の発達が認められることがある。 解剖学的および生理学的な知識は、これら血管疾患の診断や治療において不可欠な基盤となっている。2