HEALTH WORDS / 用語解説
広範囲切除
Wide excision
広範囲切除とは、悪性腫瘍などの病変に対して、腫瘍自体だけでなくその周囲の正常に見える組織も含めて一塊として切除する外科的治療法である。1
悪性腫瘍の手術においては、肉眼的に確認できる腫瘍の境界だけでなく、その周囲に微小浸潤やスキップ転移が存在する可能性がある。そのため、局所再発のリスクを最小限に抑えることを目的に、一定の安全な切除縁(マージン)を確保して切除を行うことが基本原則となる。2
皮膚がんや軟部腫瘍、乳がんなどの治療において広く用いられており、病変の組織型や悪性度、大きさに応じて必要な切除マージンの広さは異なる。例えば、悪性黒色腫や皮膚基底細胞がんなどの皮膚悪性腫瘍では、腫瘍の厚さや浸潤度に基づいてミリ単位で切除マージンが設定される。3
整形外科領域における骨軟部腫瘍の手術では、日本整形外科学会の悪性骨腫瘍臨床分類や外科的切除の基準に基づき、腫瘍を正常組織の包囲層も含めて切除する広範囲切除術が行われる。これにより、患肢温存を図りつつ、十分な局所制御を得ることが目指される。4
一方で、広範囲切除を行うことによって解剖学的な構造や機能が大きく損なわれる場合があるため、手術後のQOL(生活の質)の低下が懸念される。そのため、切除後に遊離皮弁を用いた再建手術や、人工関節、骨移植などの再建術を同時にあるいは段階的に行う集学的治療が組み合わせて実施されることが多い。5
参考文献・出典
- 国立がん研究センター 希少がんセンター: https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/sarcoma/treatment/index.html ↩
- 日本整形外科学会 診療ガイドライン: https://minds.jcqhc.or.jp/common/glossary/index.html ↩
- 日本皮膚科学会 悪性黒色腫診療ガイドライン: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/131023_1.pdf ↩
- 日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍: https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/bone_and_soft_tissue_tumors.html ↩
- 国立がん研究センター 骨軟部腫瘍 治療: https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/orthopedics/010/index.html ↩