HEALTH WORDS / 用語解説
一括切除
En bloc resection
一括切除とは、病変や腫瘍を分割することなく、周囲の正常組織を含めて一つの塊(ブロック)として完全に切除する外科手術の手法である12=。
この手法は、悪性腫瘍の外科治療において根治性を高めるために極めて重要な役割を果たしている。腫瘍を途中で切断したり破綻させたりしてしまうと、癌細胞や悪性新生物の細胞が周囲の組織や体腔内へ播種(散らばること)したり、局所再発のリスクを著しく高めたりする原因となる1。そのため、病変を取り囲む十分なマージン(安全域)を設定し、リンパ節や血管などの周囲組織とともに一塊として摘出することが原則とされる2=。
一括切除の概念は、様々な診療科および臓器の手術に応用されている。例えば、消化器外科領域における胃癌や大腸癌の手術では、原発巣だけでなく血流やリンパ流に沿った領域リンパ節郭清を伴う一括切除が行われる1。また、整形外科領域における骨腫瘍や軟部腫瘍の治療においても、局所再発を防ぐために正常組織のカプセルを含めた広範囲切除(一括切除)が標準的な治療戦略となっている3=。
病理学的な評価の観点からも、一括切除された検体は非常に高い価値を持つ。病理医が組織診や顕微鏡的な検査を行う際、腫瘍と切除端(サージカルマージン)との距離を正確に測定することが可能となり、外科的切除が完全に達成されたか(断陰性であったか)を正確に判定できるからである2=。分割して切除された標本では、腫瘍の深達度や脈管侵襲、断端陽性の有無を正確に評価することが困難になる場合があるため、一括切除は診断と治療の双方において不可欠な手技である2=。
参考文献・出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp/public/dia_tre/surgery/index.html ↩1 ↩2 ↩3
- 日本病理学会: https://jsp.pathology.or.jp/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 日本整形外科学会: https://www.joa.or.jp/public/sick/index.html ↩