HEALTH WORDS / 用語解説
系統発生
Phylogeny
系統発生とは、生物の集団や種が地質学的な時間の経過とともに進化し、分岐・適応してきた歴史的な過程およびその系統関係の全体像を指す生物学の基本概念である。1
生物の進化生物学や系統分類学において、すべての現生および絶滅した生物は過去の共通の祖先から分岐してきたと考えられており、この共通祖先からの分岐の歴史を系統樹という樹状図の構造として表現することが系統発生の理解において中心的な手法となる。2
古くは形態学的な特徴や解剖学的な類似性、化石記録などの古生物学的データに基づいて系統発生学的な推定が行われてきたが、現代の分子生物学やゲノム科学の発展に伴い、DNAやRNA、タンパク質といった分子レベルの塩基配列やアミノ酸配列の比較分析が主流となっている。3
このような分子系統発生の解析では、塩基置換の確率モデルや最尤法、ベイズ推定、近隣結合法などの統計学的・計算機科学的なアルゴリズムを用いることで、生物間の類縁関係や分岐年代を客観的かつ定量的に推測することが可能となっている。4
系統発生の研究は、単に生物間の血縁関係を明らかにするだけでなく、病原体の変異や感染拡大の経路を追跡する分子疫学、特定の遺伝子や形質が獲得された進化的背景を解明する比較ゲノム解析、さらには地球上の生物多様性の維持機構を理解するうえでも極めて重要な基盤情報を提供している。5
参考文献・出典
- 国立国会図書館 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008523363-00 ↩
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/ase/118/3/118_201004/_article/-char/ja/ ↩
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kawasan/29/0/29_63/_article/-char/ja/ ↩
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/geoinD/18/3/18_3_85/_article/-char/ja/ ↩
- 国立国会図書館 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I002778794-00 ↩