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HEALTH WORDS / 用語解説

脳領域

Brain region

脳領域とは、中枢神経系を構成する脳内部において、特定の構造的特徴や機能的役割を持つ局所的な区分を指す言葉である。1 ヒトを含む脊椎動物の脳は、発生学的な起源や解剖学的、組織学的特徴に基づいて、幾つもの異なる脳領域へと細分化されている。2

発生初期の神経管の前端部からは、将来的に前脳、中脳、後脳という主要な三つの小胞が形成される。3 さらに前脳は終脳と間脳に分かれ、後脳は後脳(橋や小脳など)と髄脳(延髄)に分化することで、最終的に複雑な構造を持つ多様な脳領域が形成される。4

大脳の表面を覆う大脳皮質は、系統発生学的に最も新しい領域であり、感覚情報の統合、運動の随意的な制御、認知、言語、記憶などの高次脳機能を担う重要な脳領域である。5 大脳皮質はさらに、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉といった各葉に分類され、それぞれの領域が特化した役割を果たしている。6

大脳皮質の下層や脳の深部に位置する大脳基底核は、線条体や淡蒼球などの神経核の集合体であり、運動の調節や学習、報酬系に関連する回路において中心的な役割を担う脳領域である。7 また、間脳に属する視床は、嗅覚を除くすべての感覚情報を大脳皮質へ中継する重要な門戸として機能し、視床下部は自律神経系や内分泌系の中枢として、体温、血糖値、水分バランスなどの恒常性(ホメオスタシス)を維持する脳領域である。89

大脳の腹側に位置する辺縁系に含まれる海馬は、新しい記憶の形成や空間認知に深く関与する脳領域であり、扁桃体は情動反応や恐怖記憶の処理において中心的な役割を果たす。1011

中脳、橋、延髄を合わせた脳幹と呼ばれる領域は、呼吸や心拍、血圧の調節など、生命維持に不可欠な反射や自律神経機能を制御する脳領域である。2 脳幹の背側に位置する小脳は、運動の滑らかな協調や平衡感覚の維持、さらには認知機能の一部にも寄与する固有の構造を持った脳領域である。12

これらの個別の脳領域は、白質を形成する神経線維の束(神経回路)によって互いに複雑に結びついており、単独で働くのではなく、大規模なネットワークを形成して多様な生体機能や精神活動を実現している。13

参考文献・出典

  1. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E4%BA%8B%E5%85%B8 ↩
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_what.html ↩1 ↩2
  3. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%AE%A1 ↩
  4. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%B3 ↩
  5. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA ↩
  6. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/kokoro/employ/kyouzai/pdf/h28_01.pdf ↩
  7. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%A4%A7%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E6%A0%B8 ↩
  8. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%A6%96%E5%BA%8A ↩
  9. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%A6%96%E5%BA%8A%E4%B8%8B%E%83%A8 ↩
  10. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC ↩
  11. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93 ↩
  12. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B0%8F%E8%84%B3 ↩
  13. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF ↩