ホーム絶滅危惧種

HEALTH WORDS / 用語解説

絶滅危惧種

Endangered Species

絶滅危惧種とは、生息地の環境破壊や乱獲などの様々な要因により、近い将来における絶滅の危険性が極めて高い生物の種を指す総称である。1

地球上の生物多様性は、生態系の維持や遺伝資源の保全において極めて重要な役割を果たしているが、近年の人間活動に起因する環境変化によって、多くの生物が急速に絶滅の危機に瀕している。2

絶滅危惧種の選定や現状の評価には、国際的な保全生物学の枠組みが深く関与している。 国際自然保護連合(IUCN)は、世界各国の生物の生存状態を継続的に調査・評価し、レッドリストを策定・公表している。3 IUCNレッドリストでは、客観的な数量的評価基準に基づいて種ごとの絶滅リスクを判定しており、絶滅危惧種は一般的に「絶滅危惧IA類」「絶滅危惧IB類」「絶滅危惧II類」などの各カテゴリーに分類される。4

我が国においても、環境省や各地方自治体が国内の野生生物の状況を調査し、環境省レッドリストおよびレッドデータブックとして公表している。5 これらのリストに掲載された種は、日本の自然環境における希少野生動植物種の現状を示す重要な指標となる。6

絶滅危惧種が生じる主たる原因としては、森林伐採や湿地の埋め立てといった生息地の分断および消失が挙げられる。7 加えて、外来種の持ち込みによる捕食や競合、気候変動に伴う環境適応の困難、さらには商業目的やペット目的過剰な捕獲・採取なども深刻な脅威となっている。8 これらの複合的な要因が個体数の激減を招き、遺伝的多様性の喪失を通じて集団の生存能力をさらに低下させるという負の連鎖を引き起こす。9

絶滅危惧種の保全にあたっては、個別の生物の保護にとどまらず、生息域内保全として保護区の設定や生息環境の復元が行われる。10 また、生息域外保全として動物園や植物園、研究機関における人工繁殖や凍結保存技術を用いた遺伝資源の維持も実施されている。11 ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)などの国際条約を活用した国際協力による違法取引の防止も、絶滅危惧種の保護において不可欠な対策である。12

参考文献・出典

  1. 環境省レッドリスト2020 補遺資料: https://www.env.go.jp/content/900516164.pdf ↩
  2. 生物多様性センター レッドデータブック検索: https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/about ↩
  3. IUCNレッドリスト 日本の解説: https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogohogoha/iucn.html ↩
  4. 環境省 レッドリストのカテゴリー: https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogohogoha/redlist.html ↩
  5. 環境省 レッドリストについて: https://www.env.go.jp/nature/kisho/kuchikomi/redlist.html ↩
  6. 生物多様性センター レッドリストの概要: https://www.biodic.go.jp/rdb/rdb_f.html ↩
  7. 生物多様性条約 近年の取り組み: https://www.env.go.jp/nature/biodic/index.html ↩
  8. 環境省 生態系被害防止外来種リスト: https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.html ↩
  9. 国立環境研究所 生物多様性領域の研究: https://www.nies.go.jp/biology/index.html ↩
  10. 文化庁 天然記念物等の保護について: https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/kinenbutsu/ ↩
  11. 国立科学博物館 植物研究部等の取り組み: https://www.kahaku.go.jp/research/index.html ↩
  12. 経済産業省 ワシントン条約の概要: https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_main/03_raw/cites/index.html ↩