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HEALTH WORDS / 用語解説

線毛上皮細胞

Ciliated epithelial cell

線毛上皮細胞とは、表面に微小な毛状の突起である線毛を多数有し、その規則的な運動によって粘液や液体、細胞などを一定の方向へと輸送する機能を持つ上皮細胞の総称である。1

ヒトの体内においては、主として呼吸器系や生殖器系の管腔を覆う粘膜に広く分布している。2

呼吸器系においては、鼻腔から気管、気管支に至る気道の上皮の大部分を占めており、杯細胞などから分泌される粘液とともに気道粘液線毛クリアランスと呼ばれる重要な生体防御機構を構成している。3

この気道に存在する線毛上皮細胞の表面には、1個あたり数百本もの線毛が密生しており、これらが協調して同調性のある波状運動(メタクロナル運動)を継続的に行っている。1

この線毛運動により、吸入された空気中に含まれる塵埃、細菌、ウイルスなどの異物を絡め取った粘液の層が、咽頭方向へ向けて絶えず押し流されるため、下気道へ病原体や異物が侵入・沈着することを防ぐことができる。3

また、生殖器系においては、女性の卵管の内腔を覆う上皮にも線毛上皮細胞が存在している。1

卵管における線毛上皮細胞の線毛は、排卵された卵子を子宮へ向けて輸送する役割を担っており、受精の成立やその後の生殖生理の過程において不可欠な機能を果たしている。1

組織学的な構造として、線毛上皮細胞は多列線毛上皮などの上皮組織を形成し、基底膜上に配列している。2

細胞の内部には微小管を基盤とした軸糸構造が含まれており、ダイニンなどのモータータンパク質の働きによって線毛の屈曲運動が生み出されている。1

臨床医学の領域において、喫煙や大気汚染物質への長期的な曝露、あるいは感染症などによってこの線毛上皮細胞が損傷を受けると、線毛運動の低下や線毛の脱落が引き起こされる。3

このような線毛の機能障害は、気道清浄化機能の破綻を招き、慢性気管支炎や気管支拡張症などの呼吸器疾患を発症・悪化させる主要な要因の一つとなることが知られている。3

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906059293129884 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. 命の科学情報館: https://www.lifescience.mext.go.jp/db/archives/registry/ hukumus/cd1/data/h03_02.html ↩1 ↩2
  3. 独立行政法人 労働者健康安全機構 日本勤労者健康機構: https://www.research.johas.go.jp/h25_kadai/files/25-2.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4