HEALTH WORDS / 用語解説
脱窒菌
Denitrifying bacteria
脱窒菌とは、硝酸塩や亜硝酸塩などの窒素酸化物を還元し、窒素ガス($N_2$)を生成して大気中へと放出する一連の代謝を行う細菌の総称である。1 自然界における窒素循環において極めて重要な役割を果たしており、主に土壌や海洋、活性汚泥などの環境中に広く生息している。2
一般的な呼吸においては酸素が電子受容体として利用されるが、脱窒菌の多くは通性嫌気性細菌であり、周囲の環境中の酸素濃度が低下した嫌気呼吸|嫌気的な条件下において、硝酸イオンなどを電子受容体として代替的に利用する性質を持つ。1 この還元の過程は「脱窒」と呼ばれ、硝酸塩($NO_3^-$)から亜硝酸塩($NO_2^-$)、一酸化窒素($NO$)、亜酸化窒素($N_2O$)を経て、最終的に無害な窒素ガス($N_2$)へと順次変換されていく。1
生態系や環境浄化の分野において、脱窒菌は水質汚濁の原因となる富栄養化を防ぐための重要な微生物として活用されている。2 例えば、下水処理施設や排水処理施設における高度な水処理プロセスでは、生物学的な硝化脱窒法が導入されており、アンモニアなどの窒素化合物を効率的に除去するために脱窒菌の機能が利用されている。2
一方で、脱窒の代謝経路の途中で生成される亜酸化窒素は強力な温室効果ガスの一つであり、またオゾン層破壊の原因物質としても知られているため、農業用地や土壌からのガス放出メカニズムの解明など、地球温暖化対策の観点からも詳細な研究が進められている。3
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906059905206925 ↩1 ↩2 ↩3
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906022421370929 ↩1 ↩2 ↩3
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201007005187178306 ↩