HEALTH WORDS / 用語解説
補酵素FAD
Coenzyme FAD
補酵素FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)とは、さまざまな酸化還元酵素の補酵素として機能し、生体内での電子移動反応において中心的な役割を果たすヌクレオチド誘導体である。1
FADはビタミンB2(リボフラビン)を前駆体として生合成される補酵素であり、分子構造としてはフラビンモノヌクレオチド(FMN)とアデニシン二リン酸(ADP)が結合した形をとっている。1
生体内においては、クエン酸回路や脂肪酸のβ酸化、アミノ酸の代謝など、数多くの代謝経路に関与する脱水素酵素の補酵素(あるいはフラビン酵素の補欠分子族)として強く結合している。1
FADは酸化型と還元型(FADH2)の間を可逆的に往復することが可能であり、基質から2個の電子と2個のプロトン(水素原子)を受容することで還元される性質を持つ。1
クエン酸回路のなかでは、コハク酸脱水素酵素(複合体II)の補欠分子族として機能し、コハク酸をフマル酸へと変換する酸化反応を直接仲介する。2
こうして還元されて生じたFADH2は、自身が持つ電子をミトコンドリアの電子伝達系(呼吸チェーン)へと受け渡し、最終的なATPの産生につながる酸化リン酸化プロセスに寄与する。1
また、FADは補酵素NAD+と比較してより低い酸化還元電位を持つ化合物に対しても電子を受け取ることが可能であり、多様な酸化還元反応を成立させるための重要な生体分子となっている。1