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HEALTH WORDS / 用語解説

開心術

Open-heart surgery

開心術とは、心臓の内部を直接治療あるいは手術するために、心腔内を開いて行う外科手術の総称である。1

歴史的に見ると、初期の開心術では低体温法や人工心肺装置を用いない方法も模索されたが、心臓内部への長時間の正確なアプローチを可能にするため、現代の多くの開心術においては人工心肺装置を用いた体外循環が不可欠となっている。2

人工心肺を用いた開心術では、患者の静脈から血液を体外へ導き出し、人工肺によって酸素を供給し二酸化炭素を除去した上で、ポンプを用いて再び動脈系へと送血する。3

この体外循環を行う間、患者の心臓の拍動を一時的に停止させる必要があり、心筋保護液の注入などによって心停止状態を安全に維持しながら外科医は手術を進める。4

開心術の適応となる代表的な疾患には、心臓弁膜症に対する弁置換術や弁形成術、虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術(ただしオフポンプ冠動脈バイパス術のように心臓を拍動させたまま行う術式もある)、先天性心疾患における心房中隔欠損症や心室中隔欠損症の根治術などが含まれる。5 また、心臓腫瘍の摘出や、大動脈瘤のうち上行大動脈や弓部大動脈に病変が及ぶ症例において深部低温低体温下での循環停止を伴う手術も開心術の範疇に含まれることが多い。6

手術の手技においては、胸骨を縦切開する正中切開が最も一般的なアプローチとして採用されてきたが、患者の身体的負担の軽減や美容上の観点から、内視鏡やロボット支援手術を用いた低侵襲な心臓手術(MICS:Minimum Invasive Cardiac Surgery)の導入も進められている。7

開心術は心臓を一時的に停止させ、全身の血流を人工心肺に置き換えて行う極めて高度な外科治療であるため、術中および術後には脳梗塞などの脳障害、出血、感染症、不整脈、多臓器不全といった重大な合併症のリスクが伴う。8

そのため、術前の全身評価から、熟練した心臓血管外科医、体外循環技術者(臨床工学技士)、心臓麻酔を担当する医師、および専門的な看護師らがチームを組んで集中管理を行う周術期管理体制が極めて重要となる。9

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/4621 ↩
  2. 国立循環器病研究センター 循環器情報サービス: https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/seikijyutsu/cvs/cvs-15/ ↩
  3. 日本胸部外科学会: https://www.jpats.org/modules/general/index.php?content_id=5 ↩
  4. 日本心臓血管外科学会: https://www.jscvs.org/general/glossary.html ↩
  5. 国立循環器病研究センター 循環器情報サービス: https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/diathesis/cvd-index.html ↩
  6. 日本外科学会: https://www.jsurg.or.jp/general/index.html ↩
  7. 厚生労働省 医療技術評価分科会: https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryoka/0000109727.pdf ↩
  8. 日本麻酔科学会: https://anesth.or.jp/users/general/guideline ↩
  9. 日本胸部外科学会: https://www.jpats.org/modules/general/index.php?content_id=10 ↩