HEALTH WORDS / 用語解説
高シトルリン血症
Citrullinemia
高シトルリン血症とは、アミノ酸の一種であるシトルリンの血中濃度が異常に上昇する常染色体劣性遺伝性の先天性代謝異常症である。1
本疾患は、体内で生じるアンモニアを無毒な尿素に変換して体外へ排泄する尿素回路の代謝異常によって引き起こされる。1
尿素回路の働きが障害されることで血中にアンモニアが蓄積し、重篤な高アンモニア血症を誘発することが特徴である。1
高シトルリン血症は、その発症時期や原因遺伝子の違いにより、主にI型とII型の病型に分類される。1
I型は、アルギニノコハク酸合成酵素(ASS)の酵素活性低下あるいは欠損が原因となり、乳児期早期から哺乳力低下、嘔吐、嗜眠、意識障害などの高アンモニア血症症状を呈することが多い。2
I型の原因遺伝子であるASS1遺伝子の変異によって生じ、新生児期に発症する重症型だけでなく、症状が軽度な遅発型も存在する。1
一方、II型は成人期に発症することが多く、シトルリンの輸送に関わるシトリンというタンパク質の異常が原因である。1
II型の責任遺伝子であるSLC25A13遺伝子の変異により、高シトルリン血症に加えて、高ガラクトース血症や新生児肝内胆汁鬱滞症などを引き起こすシトリン欠損症の成人期病像として現れる。1
II型の臨床症状としては、高アンモニア血症に起因する意識障害、肝性脳症、異常行動、見当識障害などが急激に出現することが知られている。1
診断にあたっては、血中アミノ酸分析により著明なシトルリンの上昇を確認し、尿素回路異常症を疑うことが重要となる。2
さらに、血中および尿中の各種代謝物の測定や、遺伝子学的検査によって原因遺伝子の変異を特定することで確定診断が行われる。1
治療法としては、体内に蓄積したアンモニアやシトルリンを減少させるため、食事療法によるタンパク質の制限や、過剰な窒素成分を排泄する安息香酸ナトリウムやフェニル酪酸ナトリウムなどの高アンモニア血症治療薬が用いられる。2
特にI型の重症例や急性期においては、血中アンモニアを急速に除去するために血液透析などの血液浄化療法が実施されることがある。2
また、病態や重症度に応じて肝移植が検討される場合もあり、根本的な代謝異常の改善を目的とした外科的治療が行われることもある。1