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HEALTH WORDS / 用語解説

CDKN1C

Cyclin-dependent kinase inhibitor 1C

CDKN1Cとは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害因子の一つであり、細胞周期の進行を負に制御することで細胞増殖を抑制するタンパク質、あるいはそれをコードする遺伝子のことである。1

CDKN1C遺伝子は、ヒトでは染色体11p15.5に位置しており、インプリンティング遺伝子として知られている。2

この遺伝子は母性アレルからのみ発現し、父性アレルはエピジェネティクスな機序によりメチル化を受けて不活化されている。3

CDKN1Cタンパク質は、p57、p57Kip2、あるいはKIP2とも称され、サイクリンE-CDK2複合体やサイクリンD-CDK4複合体などの主要なサイクリン依存性キナーゼに結合してそのキナーゼ活性を阻害する。4

これにより、細胞周期がG1期からS期へ移行するのをブロックし、細胞分裂を停止させることで組織の成長や発生を精密にコントロールしている。2

特に胎生期における細胞増殖の抑制や細胞分化の誘導において極めて重要な役割を果たしており、正常な器官形成に不可欠である。3

CDKN1C遺伝子の変異や機能異常は、過剰な細胞増殖やアポトーシスの異常を引き起こし、様々な疾患の原因となることが知られている。3

代表的な疾患として、過成長や臍帯ヘルニア、巨舌などを特徴とする先天性のインプリンティング異常症であるベックウィズ・ヴィーデマン症候群(Beckwith-Wiedemann syndrome)が挙げられる。3

ベックウィズ・ヴィーデマン症候群の患者の一部では、CDKN1C遺伝子の変異や欠失が同定されており、腫瘍発症リスクの上昇とも関連している。2

また、本遺伝子の異常はウィルムス腫瘍やその他の小児期悪性腫瘍の発症にも関与していることが報告されている。1

このように、CDKN1Cは細胞周期のチェックポイントにおいて腫瘍抑制遺伝子として働き、生体内の恒常性維持に深く関与している分子である。4

参考文献・出典

  1. Human Gene Nomenclature Database (HGNC): https://www.genenames.org/data/gene-symbol-report/#!/hgnc_id/HGNC:1784 ↩1 ↩2
  2. Entrez Gene: CDKN1C cyclin-dependent kinase inhibitor 1C [Homo sapiens]: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/1028 ↩1 ↩2 ↩3
  3. 遺伝性疾患情報リスト(ORPHA): https://www.orpha.net/en/disease/detail/3246 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  4. UniProt: P49918 · CDKN1C_HUMAN: https://www.uniprot.org/uniprotkb/P49918/entry ↩1 ↩2