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HEALTH WORDS / 用語解説

DCT

Differential Display PCR

DCT(Differential Display PCR)とは、PCR法を応用して複数の細胞間における遺伝子発現の差異を網羅的に検出するための分子生物学的実験手法である。1

リボ核酸|RNAの逆転写反応とポリメラーゼ連鎖反応|PCRを組み合わせたこの技術は、真核生物の細胞や組織間で発現しているメッセンジャーRNA|mRNAの多様性を比較するために開発された。2

Differential Display法では、全RNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成する際、プライマーとして任意の塩基配列を持つ短いランダムプライマーやオリゴdTプライマーを使用する。2

これにより、ゲノム上の特定の遺伝子領域だけでなく、多様な転写産物を同時に増幅させることが可能となる。2

増幅されたDNA断片は、通常ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの電気泳動法によって分離され、銀染色や蛍光検出、あるいは放射性同位元素を用いたオートラジオグラフィーなどによって可視化される。1

異なる組織由来のサンプルや、異なる薬剤処理を行った細胞由来のサンプルの間で電気泳動パターンのバンドを比較することで、特定の条件下で発現が誘導あるいは抑制されている遺伝子の検出が行える。2

この手法の大きな利点の一つは、あらかじめ塩基配列が不明な新規遺伝子であっても、発現変動を伴うものであればスクリーニングの対象に含めることができる点にある。2

疾患モデル動物やがん細胞株を用いた研究において、病態の進展や薬物耐性に関与する責任遺伝子の探索などに広く応用されてきた。2

一方で、PCRを用いた増幅反応である性質上、偽陽性のバンドが含まれやすいことや、発現量の低いmRNAの検出が困難であることなどの技術的限界も指摘されている。2

そのため、検出されたDNA断片をゲルから切り出し、クローニングおよび塩基配列決定を行った上で、ノーザンブロッティング法や定量PCR法などの二次スクリーニングによって遺伝子発現の変化を再確認することが一般的な実験プロトコルとなっている。2

参考文献・出典

  1. 国立国会図書館インターネット資料収集事業: https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndl/pid/11099955/www.niph.go.jp/soshiki/gijutsu/index_j.html ↩1 ↩2
  2. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907043888746761 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8