HEALTH WORDS / 用語解説
Foxn1
Foxn1
Foxn1とは、フォークヘッドボックス(Forkhead box)ファミリーに属する転写因子であり、胸腺の上皮細胞の分化や毛包の形成において中心的な役割を果たすタンパク質およびそれをコードする遺伝子である。1
Foxn1遺伝子は、脊椎動物の免疫系および外皮系の発育において極めて重要な遺伝子である。2
マウスにおけるFoxn1遺伝子の自然突然変異は「ヌード(nude)」と呼ばれる表現型を引き起こすことが古くから知られており、この変異を持つマウスは胸腺の形成不全によるT細胞の欠損と、全身の毛包異常による無毛状態を呈する。1
ヒトにおいても、FOXN1遺伝子の変異は重症複合免疫不全症(SCID)、胸腺の欠損、および外胚葉の異常などを伴う遺伝性疾患の原因となることが明らかにされている。2
胸腺上皮細胞(TEC)におけるFoxn1の発現は、胸腺の構造維持および初期のT細胞が自己と非自己を識別するために必要な正の選択や負の選択を行う環境の構築に必須である。1
さらに、Foxn1は皮膚の表皮や毛包の上皮組織において、細胞の増殖と分化のバランスを調節する転写因子としても機能している。2
近年の再生医学や免疫学の研究においては、高齢化に伴う胸腺機能低下(胸腺退縮)に対する治療標的として、あるいは人工胸腺の作製や胸腺上皮細胞の体外誘導における重要因子として、Foxn1に関する研究が精力的に進められている。1
参考文献・出典
- Entrez Gene: FOXN1 forkhead box N1 [Homo sapiens]: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/8456 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- MGI-Mouse Genome Informatics: Foxn1 forkhead box N1 [Mus musculus]: https://www.informatics.jax.org/marker/MGI:95657 ↩1 ↩2 ↩3