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HEALTH WORDS / 用語解説

HIF-2α阻害薬

HIF-2α inhibitor

HIF-2α阻害薬とは、低酸素誘導因子-2α(HIF-2α)の機能や発現を特異的に阻害する分子標的薬の一種であり、主として腎細胞癌などの悪性腫瘍に対する治療薬として開発・臨床応用されている医薬品である。12

生体が低酸素状態に陥った際、細胞は適応応答を引き起こすために低酸素誘導因子(HIF)を活性化させる。1HIFはαサブユニットとβサブユニットから構成されるヘテロ二量体であり、そのうちのHIF-2αはエリスロポエチンの産生調節や血管新生、細胞増殖に関与している。2多くのフォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病関連腫瘍や腎細胞癌においては、VHLタンパク質の異常によりHIF-2αが常時蓄積し、腫瘍の増殖や進展が促進されることが知られている。1

このような背景から、HIF-2αとHIF-1βとの結合を阻害したり、HIF-2αの立体構造を変化させて不活化したりすることで、下流の標的遺伝子の転写を抑制する化合物としてHIF-2α阻害薬が研究されてきた。2代表的な低分子化合物であるベルツティニブ(Belzutifan)は、HIF-2αのPAS-Bドメインに結合し、HIF-1βとの二量体形成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。2

臨床試験においては、VHL病に伴う腎細胞癌、中枢神経系血管芽腫、膵神経内分泌腫瘍などの患者に対して有効性が示されている。1また、根治切除不能なあるいは転移性の明細胞型腎細胞癌の治療においても、従来の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬とは異なる作用機序を持つ新しい治療選択肢として位置づけられている。2

HIF-2α阻害薬の主な副作用としては、HIF-2αが腎臓におけるエリスロポエチン産生を抑制することに起因する貧血や、血中酸素濃度低下(低酸素症)などが挙げられるため、投与中は血液検査や酸素飽和度のモニタリングを行うなど、適切な安全性管理が必要とされる。2

参考文献・出典

  1. 国立がん研究センター 希少がんセンター: https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/ccr/index.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. PMDA 医薬品評価書: https://www.pmda.go.jp/drugs/2023/P20230627003/670695000_30500AMX00305_I100_1.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6