HEALTH WORDS / 用語解説
転移性
metastatic
転移性とは、悪性腫瘍(がん)の細胞が原発巣から離れた他の組織や臓器に血行性、リンパ行性、あるいは播種によって移動し、そこで新たな増殖を営む状態、またはその性質を指す用語である。1
がんの転移は、悪性腫瘍の自然史における最も特徴的な現象の一つであり、しばしば治療を困難にする主要な要因となる。2
原発巣から剥がれ落ちたがん細胞は、周囲の基底膜や細胞外基質を分解し、血管やリンパ管の壁を透過して循環器系へ侵入する。3
血中やリンパ液の流れに乗ったがん細胞は、遠隔部位の微小環境において血管新生を誘導しながら定着し、二次性腫瘍(転移巣)を形成する。2
転移性の病変が生じる頻度や、好発する臓器(標的臓器)は、原発巣の種類によって異なる傾向があり、例えば大腸がんでは肝臓や肺への転移が高頻度に観察される。3
臨床的には、転移性腫瘍の発見は病期(ステージ)の進行を意味し、根治手術が困難になるケースが増加するため、全身療法としての薬物療法(化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)や放射線治療を中心とした集学的治療が選択されることが多い。1
近年では、ゲノム医療の発展により、転移性の悪性腫瘍における遺伝子変異を網羅的に解析し、個々の患者の分子プロファイルに基づいた最適な薬剤を選択する試みが進められている。2
参考文献・出典
- 国立がん研究センター 希少がんセンター: https://www.ncc.go.jp/jp/rc/index.html ↩1 ↩2
- 厚生労働省 科学的根拠に基づくがん予防: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html ↩1 ↩2 ↩3
- 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp/public/cancer/what_is_cancer/metastasis.html ↩1 ↩2