HEALTH WORDS / 用語解説
NFAT1
Nuclear factor of activated T-cells 1
NFAT1とは、主としてT細胞などの免疫細胞の活性化において中心的役割を果たす転写因子である。1 NFATファミリーに属するタンパク質の一つであり、NFATc2とも称される。2
NFAT1は、カルシウムシグナル伝達経路の下流で機能する。1 通常の状態では、NFAT1はリン酸化された状態で細胞質に局在している。2 T細胞受容体などが刺激されると、細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇し、カルモジュリン依存性ホスファターゼであるカルシニューリンが活性化される。3
活性化したカルシニューリンは、細胞質に存在するNFAT1を脱リン酸化する。2 脱リン酸化を受けたNFAT1は、その構造変化に伴って核内移行が可能となり、核へと移行する。1 核内に達したNFAT1は、他の転写因子(AP-1など)と複合体を形成するか、あるいは単独で特定のDNA配列に結合する。3
これにより、インターロイキン-2(IL-2)をはじめとする様々なサイトカインや免疫応答に関連する遺伝子の転写を誘導する。1 IL-2などの発現は、T細胞の増殖や分化に不可欠であり、NFAT1は獲得免疫の調節において極めて重要な分子である。2
また、NFAT1はT細胞のアポトーシスや、制御性T細胞の機能維持、さらには免疫応答の負の制御にも関与していることが示されている。3 免疫抑制薬であるシクロスポリンAやタクロリムスは、カルシニューリンの活性を阻害することでNFAT1の脱リン酸化および核内移行を阻止し、結果としてT細胞の活性化を抑制して免疫抑制作用を発揮する。1
参考文献・出典
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/4772 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/Q13469/entry ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- GeneCards: https://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=NFATC2 ↩1 ↩2 ↩3