HEALTH WORDS / 用語解説
PDE9
Phosphodiesterase 9
PDE9とは、サイクリックGMP(cGMP)およびサイクリックAMP(cAMP)を加水分解し、その細胞内シグナル伝達を負に調節するホスホディエステラーゼのアイソザイムファミリーの一つである。1
PDE9遺伝子によってコードされるPDE9タンパク質は、特に中枢神経系や平滑筋などの組織において高い発現量を示すことが知られている。2
分子生物学的および生化学的な解析において、PDE9はcGMPに対する特異性が極めて高い酵素として分類されている。1
細胞内におけるcGMPの濃度は一酸化窒素(NO)シグナル伝達系などを介して記憶や学習などの高次脳機能の維持において重要な役割を果たしており、PDE9はこのcGMPの分解を促すことで神経可塑性やシナプス可塑性の調節に関与している。3
近年の薬理学的な研究では、PDE9の活性阻害が脳内のcGMPおよびcAMP量を増加させ、認知機能の改善や神経変性疾患に対する保護的な効果をもたらす可能性が示唆されている。3
そのため、アルツハイマー病や統合失調症といった精神神経疾患における認知障害に対する新しい治療薬の分子標的として、PDE9阻害薬の開発と研究が進められている。4
また、中枢神経系以外においても、PDE9は心血管系組織などで発現が確認されており、心肥大や心不全などの病態生理学的なプロセスへの関与についても基礎研究が行われている。4