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HEALTH WORDS / 用語解説

TALEN

Transcription Activator-Like Effector Nuclease

TALENとは、植物病原菌Xanthomonas属が分泌するTALエフェクターとDNA切断酵素を融合させた、人工制限酵素による遺伝子改変技術である。1

TALENの名称は「Transcription Activator-Like Effector Nuclease」の頭文字に由来するものであり、ゲノム編集ツールの一つとして基礎生物学研究から医学・創薬分野に至るまで広く応用されている。2

TALENの最大の特徴は、DNAの塩基配列を標的化する認識ドメインと、DNAを切断するヌクレアーゼドメインを組み合わせている点にある。1

Xanthomonas属細菌が持つTALエフェクターは、宿主植物の細胞内で特定のDNA配列に結合するタンパク質であり、その結合特異性はアミノ酸の反復配列によって決定されている。2

具体的には、反復配列中の第12番目と第13番目のアミノ酸残基(RVD: Repeat Variable Di-residue)の組み合わせによって、DNAの4つの塩基(A、T、G、C)のいずれを認識するかが一対一で対応している。1

このアミノ酸配列と塩基配列の明確な対応規則を利用することで、研究者は標的としたい任意のDNA配列に特異的に結合するタンパク質を人工的に設計・合成することが可能となる。2

DNAを切断するドメインとしては、通常FokIなどの制限酵素由来のヌクレアーゼドメインが利用される。1

FokIは二量体を形成することで初めてDNAを切断する活性を持つため、標的DNAの塩基配列を挟むように左右一対のTALENを設計し、細胞内に導入する必要がある。2

左右のTALENがそれぞれの標的配列に結合すると、FokIが二量体を形成してDNA鎖に二重鎖切断を引き起こす。1

細胞がこの二重鎖切断を修復する過程において、DNAの塩基の欠失や挿入といった変異がランダムに生じるため、特定の遺伝子の機能をノックアウトすることが可能になる。2

さらに、切断部位の近傍に目的の外来遺伝子配列を持つドナーDNAを同時に供給することで、相同組換え修復を利用して任意の遺伝子配列をゲノム上の正確な位置にノックインすることもできる。1

ゲノム編集技術としてはCRISPR-Cas9システムが普及する以前からジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)とともに開発・利用されてきた実績があり、特にオフターゲット効果(意図しないDNA配列を切断してしまう現象)が比較的少ないという利点が指摘されている。2

一方で、反復配列を多数含むためDNAの合成やベクター構築が技術的にやや複雑である点や、タンパク質のサイズが大きいといった課題も存在する。1

それでもなお、医学・生物学の領域において遺伝子機能の解析、疾患モデル動物の作製、さらには遺伝子治療の臨床応用を見据えた基盤技術として、極めて重要な役割を果たしている。2

参考文献・出典

  1. 国立遺伝学研究所 新分野創造センター: https://shinkanyaku.nig.ac.jp/research/lab/tsukahara/index.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  2. 東京大学 大学院農学生命科学研究科・農学部: https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2013/20130613-1.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7