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HEALTH WORDS / 用語解説

Vps15

Vps15

Vps15とは、真核生物の細胞内における小胞体からゴルジ体、あるいはエンドソームやリソソームといった膜交通に関与するタンパク質複合体の構成要素であるセリン・スレオニンキナーゼの一種である。1

Vps15は酵母から哺乳類まで高度に保存されているタンパク質であり、ヒトにおいてはPI3K関連キナーゼファミリーに属するPIK3R4遺伝子によってコードされている。2

本タンパク質は、液胞タンパク質選別(Vacuolar protein sorting)経路において中心的な役割を果たすPI3K複合体III(VPS34複合体)の必須の調節サブユニットとして機能する。1

Vps15はキナーゼドメインを持っているものの、一般のリン酸化酵素とは異なり、触媒活性が欠損しているあるいは非常に弱い偽キナーゼとしての性質を持つことが知られている。1

その一方で、Vps15はホスファチジルイノシトール3-キナーゼであるVps34と強固に結合し、Vps34を細胞膜や特定の細胞内小器官の膜へとリクルートするためのアンカーとして働くとともに、その酵素活性を制御する重要な役割を担っている。2

Vps34との複合体形成により生成されるホスファチジルイノシトール-3-リン酸(PI3P)は、細胞質内の様々なエフェクタータンパク質を特定の膜領域に集積させるための目印として機能するため、Vps15はこのシグナル伝達の起点においても不可欠な存在である。1

特に、Vps15を含むPI3K複合体IIIは、細胞の自食作用であるオートファジーの初期段階において、隔離膜の形成やオートファソームの生合成を誘導するために極めて重要な働きをしている。2

さらに、オートファジー以外にも、エンドサイトーシスやリソソームへのタンパク質輸送、初期エンドソームの成熟といった多様な膜交通経路の制御に関与していることが明らかにされている。1

遺伝子レベルでの研究では、Vps15の機能異常や変異は、細胞内の品質管理機構の破綻や代謝異常を引き起こし、様々な疾患の病態形成に関与する可能性が指摘されている。2

参考文献・出典

  1. UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/Q15303/entry ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. Ensembl: https://www.ensembl.org/Homo_sapiens/Gene/Summary?g=ENSG00000100376 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4