HEALTH WORDS / 用語解説
クロスブリッジ
Cross-bridge
クロスブリッジとは、骨格筋や心筋などの筋収縮において、ミオシンフィラメントの頭部がアクチンフィラメントと結合して形成する橋状の構造物のことである。1
クロスブリッジの形成とサイクルは、筋収縮のメカニズムを説明する滑り説(ラチェット説)の中核をなす現象である。筋原線維を構成する筋節(サルコメア)内において、太いフィラメントであるミオシンの頭部(S1領域)にはアクチンとの結合部位およびATPを加水分解するATP酵素活性が存在している。筋小胞体からカルシウムイオンが細胞質基質へ放出されると、アクチンフィラメント上のトロポニン・トロポミオシン複合体の位置が変化し、ミオシンの結合部位が露出する。これにより、ミオシン頭部がアクチンと結合してクロスブリッジが形成される。2
クロスブリッジが形成された後、ミオシン頭部に結合していたATPの加水分解に伴うエネルギーを利用して構造変化(パワーストローク)が生じる。このパワーストロークにより、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの中心方向へと引き寄せられ、筋全体の短縮すなわち収縮がもたらされる。パワーストロークの終了後、新たなATPがミオシン頭部に結合することで、クロスブリッジはアクチンから解離する。この「結合・傾斜・解離・復帰」の一連のサイクルがATPの存在下で繰り返されることにより、筋は大きな張力を発生させながら収縮を続けることができる。死後硬直は、生体の死亡によってATPの供給が絶たれた結果、クロスブリッジがアクチンから解離できなくなることで発生する現象である。3
参考文献・出典
- 生化学辞典 第4版: https://biosciencedbc.jp/db/archives/sekigaku/seikagaku/01777.html ↩
- 理化学研究所 脳神経科学研究センター: https://bdr.riken.jp/ja/research/labs/cellular-molecular-adaptation/index.html ↩
- 文部科学省 学術用語集 physiology: https://jglobal.jst.go.jp/en/detail?JGLOBAL_ID=200906045610816911 ↩