ホームシャトルベクター

HEALTH WORDS / 用語解説

シャトルベクター

Shuttle vector

シャトルベクターとは、2つ以上の異なる宿主細胞または生物種の間で複製および移動が可能なベクター(遺伝子工学)|ベクターのことである。1

遺伝子工学や分子生物学の分野において、目的とするDNA断片を効率的に操作および増殖させるために設計されたプラスミドなどの組換えDNA分子を指す。2

通常のベクターは単一の宿主(例えば大腸菌など)でのみ機能するように最適化されていることが多いが、シャトルベクターは複数の異なる生物(例えば大腸菌と酵母、あるいは大腸菌と哺乳類細胞など)の双方で複製を維持できる特殊な構造を持っている。2

この特性により、遺伝子操作やDNAの大量増殖を扱いやすい原核生物(大腸菌など)の系で行った後、そのプラスミドを抽出して真核生物などの別の宿主に導入し、遺伝子発現や形質転換の解析を行うことが可能となる。1

シャトルベクターが両方の宿主で機能するためには、それぞれの宿主特異的な複製起点(オリジン)と、それぞれの宿主において機能する選択マーカー(薬剤耐性遺伝子など)を同一のベクター分子内に備えている必要がある。2

例えば、酵母・大腸菌シャトルベクターの場合、大腸菌用の複製起点とアンピシリン耐性遺伝子などのマーカーに加え、酵母用の複製起点(ARSなど)と栄養要求性相補遺伝子などが組み込まれている。2

このようにして構築されたベクターを用いることで、複雑な遺伝子組換え実験の労力を大幅に軽減し、異種生物種間での遺伝子のやり取りや機能解析を円滑に進めることが可能になるため、現代のライフサイエンス研究において不可欠なツールとなっている。1

参考文献・出典

  1. 武田薬品工業 医薬品用語辞典: https://www.takeda.co.jp/products/medical-rep/glossary/s/1301042.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. 国立遺伝学研究所 遺伝学辞典: https://nig-ch.nig.ac.jp/features/dictionary/sa/shuttle_vector.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4