HEALTH WORDS / 用語解説
生物種
Biological species
生物種とは、生物分類学における階級の一つであり、一般に自然界において交配可能で生殖能力のある子孫を残すことができる個体群の集まりを指す基本単位である。1生物の多様性を理解し組織化するための最も重要な概念の一つとして広く用いられている。2
生物種を定義するための基準には様々な生物学的アプローチが存在する。最も広く受け入れられているエルンスト・マイヤーの生物学的種概念によれば、種とは「実際に、あるいは潜在的に交配する自然個体群の集まりであり、他のそのような集まりからは生殖的隔離によって隔てられているもの」と定義される。3この概念においては、遺伝子の交流が可能な範囲が種の境界を決定する重要な要素となる。一方で、形態学的な特徴の差異に基づいて分類を行う形態種概念や、進化の歴史における系統関係を重視する系統種概念など、対象とする生物群や研究目的に応じて複数の定義が使い分けられている。4
地球上には数百万から数千万種もの生物種が存在すると推定されているが、現代の科学によって記載・命名されているのはその一部に過ぎない。新種の発見やDNAバーコーディングなどの分子系統学的手法を用いた解析により、従来同一の種と考えられていた集まりが隠蔽種として別個の種に分類し直されるなど、種の分類体系は日進月歩で更新されている。生物多様性の保全や生態系の維持を考える上で、正確な生物種の同定と評価は不可欠な基盤情報となっている。5
参考文献・出典
- 国立国会図書館 国立国会図書館リサーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008581023-00 ↩
- 国立遺伝学研究所 DDBJ: https://www.ddbj.nig.ac.jp/index-j.html ↩
- 国立科学博物館 日本の生物多様性保全に関わる研究: https://www.kahaku.go.jp/research/db/biodiversity/ ↩
- 東京大学 大学院理学系研究科・理学部: https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/ ↩
- 環境省 生物多様性センター: https://www.biodic.go.jp/ ↩