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HEALTH WORDS / 用語解説

薬剤耐性遺伝子

Antimicrobial resistance gene

薬剤耐性遺伝子とは、細菌などの微生物が特定の抗菌薬や薬剤に対する耐性を獲得し、その生存や増殖を可能にする遺伝子の総称である1。

薬剤耐性(AMR)は現代の公衆衛生における深刻な脅威の一つであり、これらの遺伝子の存在と拡散はその主要な原因となっている2。

薬剤耐性遺伝子の獲得メカニズムには、細菌のゲノムにおける自発的な突然変異のほか、プラスミドやトランスポゾンといった移動性遺伝因子を介した水平伝播が含まれる3。

水平伝播によって、異なる菌種の間でも耐性遺伝子が伝達されることがあり、これが薬剤耐性の急速な広がりを助長する要因となっている1。

耐性の具体的な生化学的機序としては、抗菌薬の不活化酵素の産生、細胞膜の透過性低下による薬剤の蓄積防止、標的分子の変異、および efflux pump(トランスポーター)を用いた薬剤の能動的な細胞外排出などが挙げられる3。

例えば、β-ラクタマーゼをコードする遺伝子群は、ペニシリン系などのβ-ラクタム系抗菌薬の環状構造を分解することで、その薬効を失わせる働きを持つ2。

このような遺伝子の保有状況を網羅的に解析するため、次世代シーケンサを用いた全ゲノム解析やメタゲノム解析などの分子生物学的手法が広く活用されている3。

医療現場や獣医療における抗菌薬の適正使用の推進は、新たな薬剤耐性遺伝子の選択圧を軽減し、その伝播を防ぐための極めて重要な対策となっている1。

参考文献・出典

  1. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/amr/index.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. 国立国際医療研究センター AMRO: https://amrcrc.ncgm.go.jp/surveillance/010/20200522123513.html ↩1 ↩2
  3. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/AMR-e/7864-amr-intro.html ↩1 ↩2 ↩3