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HEALTH WORDS / 用語解説

ベクター(遺伝子工学)|ベクター

遺伝子工学

ベクターとは、外来のDNA断片を宿主細胞へ運搬するために用いられるDNA分子のことである。1

遺伝子工学や分子生物学において、ベクターは目的とする遺伝子を宿主細胞内で大量に複製させたり、タンパク質を発現させたりするための重要なツールとして利用されている。2

一般的なベクターには、プラスミド、バクテリオファージ、ウイルスベクターなどがあり、それぞれが持つ特性に応じて使い分けられる。3

プラスミドは、細菌などの細胞内でDNAとは独立して複製を行う環状の二本鎖DNAであり、小型で扱いやすいため遺伝子組換え実験の基本ツールとして広く普及している。2

ウイルスベクターは、ウイルスが持つ宿主細胞への感染能力を利用して目的の遺伝子を効率的に細胞内へ導入する手法であり、遺伝子治療や基礎研究におけるin vivoおよびin vitroの遺伝子導入に欠かせない。1

ベクターとして機能するためには、いくつかの不可欠な構造上の特徴を備えている必要がある。 その代表例が複製起点であり、これが存在することで宿主体内での自律的なDNA複製が可能となる。2

また、外来DNAを挿入するための制限酵素切断部位が集まったマルチクローニングサイトや、ベクターを取り込んだ宿主を選別するための薬剤耐性遺伝子などのマーカー遺伝子が組み込まれているのが一般的である。3

遺伝子治療の分野においては、安全性の高いウイルスベクターの開発が進められており、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクターなどがそれぞれの臨床応用や疾患モデルの解析に応じて選択されている。1

このように、ベクターは基礎科学の研究から医療応用に至るまで、遺伝子操作を伴うあらゆるバイオテクノロジーの基盤を支える極めて重要な役割を担っている。2

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 遺伝子治療臨床研究に関する指針: https://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/iyaku/idenshi/kanren/g0403-1.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. NIBIOHN 医薬基盤研究所 遺伝子組換え生物等: https://www.nibiohn.go.jp/jnet/oshirase/files/h22_anzen_taisaku/h22_anzen_taisaku_text01.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  3. 文部科学省 大学等における遺伝子組換え実験等に関する安全管理指針: https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/anzen/1413292.htm ↩1 ↩2