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HEALTH WORDS / 用語解説

シンノンブレウイルス

Sin Nombre virus

シンノンブレウイルスとは、ハンタウイルス科オルソハンタウイルス属に分類されるウイルスの一種であり、ヒトにハンタウイルス肺症候群(HPS)を引き起こす主要な病原体である。1

本ウイルスは、1993年にアメリカ合衆国南西部(フォーコーナーズ地域)において発生した原因不明の重症呼吸器疾患の集団発生の際に、初めて特定された。2 当初は「フォーコーナーズウイルス」などの名称で呼ばれていたが、後に「シンノンブレウイルス」(Sin Nombre virus:「名前のないウイルス」の意)と命名された。1

シンノンブレウイルスの自然宿主は、主にアメリカシロアシネズミ(Peromyscus maniculatus)などのげっ歯類である。1 感染したげっ歯類は持続感染を示し、唾液、尿、糞便などを介してウイルスを長期間排出し続ける。2

ヒトへの感染経路は、主としてウイルスに汚染されたげっ歯類の排泄物が乾燥して空気中に舞い上がったエアロゾルを吸入することによる。2 また、感染した動物に直接咬まれたり、排泄物に触れた手で口や鼻を触れたりすることによっても感染することがあるが、通常はヒトからヒトへ感染することはない。1

シンノンブレウイルスによるハンタウイルス肺症候群の潜伏期間は、一般的に感染後1週間から6週間程度である。2 初期症状としては、発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、吐き気、嘔吐、腹痛などのインフルエンザ様症状が突然現れる。2

病状が進行すると、急速に肺に液体が貯留する肺水腫を引き起こし、重篤な低酸素血症やショック状態に至る。1 ハンタウイルス肺症候群は致死率が非常に高いことで知られており、呼吸器不全が急速に悪化するため、早期の集中治療が必要となる。2

診断には、臨床症状や流行地への渡航歴・暴露歴の確認に加え、血清学検査(抗体検査)や分子生物学的検査(RT-PCR法などによるウイルス遺伝子の検出)が用いられる。1

予防において最も重要な対策は、げっ歯類との接触を避けること、およびその生息環境を人間の居住空間から遠ざけることである。2 げっ歯類の生息しそうな場所や巣を清掃する際には、乾燥した排泄物が舞い上がらないように消毒液を散布してから拭き取るなどの適切な防護措置が推奨される。2

参考文献・出典

  1. NIID 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanasi/423-hantavirus-intro.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 厚生労働省検疫所 FORTH: https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/first08.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8