HEALTH WORDS / 用語解説
ストレプトマイセス・リンコルネンシス
ストレプトマイセス・リンコルネンシスとは、放線菌の一種であり、抗生物質であるリンコマイシンを産生する微生物として知られているバクテリアである1。
本菌株は、土壌中などに生息する好気性のグラム陽性菌であり、菌糸を伸ばして胞子を形成する特徴を持っている1。
ストレプトマイセス属の細菌は、医学や薬学の分野において極めて重要な有用微生物群であり、これまでに多くの代謝産物や医薬品の原料となる化合物を見出されてきた歴史がある2。
ストレプトマイセス・リンコルネンシスが産生するリンコマイシンは、細菌のリボソームの50Sサブユニットに結合することによって、タンパク質の生合成を阻害する作用机序を持っている3。
この抗菌作用により、ペニシリン系などの抗菌薬に対してアレルギーを持つ患者に対する代替治療薬として、あるいは特定の感染症に対する化学療法において応用されてきた歴史がある3。
さらに、この天然物を化学的に修飾することによって開発されたクリンダマイシンなどの誘導体は、より優れた吸収性や抗菌活性を示すため、現代の臨床医学の現場でも広く利用されている医薬品となっている3。
学術的な研究や産業微生物学の領域においては、ストレプトマイセス・リンコルネンシスの遺伝子組換え技術を用いた代謝経路の解析や、より効率的な発酵生産プロセスの開発に関する研究が継続的に行われている2。
このように、ストレプトマイセス・リンコルネンシスは、基礎科学的な微生物学の対象としてだけでなく、現代の医療を支える抗生物質の供給源として、極めて高い価値を有する生物資源の一つとして位置づけられている1。
参考文献・出典
- NITE Biodiversity Center: https://www.nite.go.jp/nbrc/catalogue/NBRC13060.html ↩1 ↩2 ↩3
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsapm/24/2/24_67/_pdf ↩1 ↩2
- KEGG MEDICUS: https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057223 ↩1 ↩2 ↩3