HEALTH WORDS / 用語解説
セイヨウアブラナ
Rapeseed / Brassica napus
セイヨウアブラナとは、アブラナ科アブラナ属に分類される越年草であり、世界中で油糧作物および飼料として広く栽培されている作物である。1 学名は*Brassica napus* L.であり、ゲノム解析の結果、カブ(*Brassica rapa*)とキャベツ(*Brassica oleracea*)の種間雑種に由来して成立した異質四倍体であることが知られている。2
形態的特徴として、根は主根と側根からなり、茎は直立して分枝し、高さは通常50センチメートルから150センチメートル程度に成長する。葉は互生し、下部の葉は羽状深裂または頭大羽状分裂を示すことが多く、上部の葉は抱茎性を持ち茎を抱くように着生する。花期には総状花序を形成し、十字形の鮮やかな黄色の4花弁からなる花を多数咲かせる。果実は長角果と呼ばれる円柱状の莢であり、成熟すると縦に裂けて内部から多数の種子を散布する。種子は球形に近く、品種や環境に応じて黒褐色から赤褐色を呈する。
生理学的特徴および栽培特性に関して、セイヨウアブラナは耐寒性比較的高く、秋に播種して冬を越し、春から初夏にかけて開花・結実する秋播き型の栽培が温帯地域では主流となっているが、春播き型の品種も存在する。土壌適応性は比較的広いものの、水はけが良く有機物に富んだ肥沃な土壌を好み、過湿な環境では生育不良や病害の発生リスクが高まる。自家受粉も行うが、昆虫等による他家受粉の割合も比較的高く、近縁種との間の遺伝子流動が生じる可能性があるため、生物多様性の観点や遺伝子組換え作物の栽培管理においては周囲の状況に十分な配慮が求められる。3
経済的価値および利用用途において、セイヨウアブラナの種子には多量の油脂が含まれており、圧搾や抽出工程を経て菜種油(キャノーラ油)として食用に大量生産されている。品種改良の歴史を通じて、動脈硬化などの懸念があるエルカ酸や、飼料としての利用を阻害するグルコシノレートを低減させたキャノーラと呼ばれる低エルカ酸低グルコシノレート品種が主流となり、食品衛生法や飼料安全法の基準に適合した安全な油脂資源および副産物である菜種粕(油粕)が家畜用飼料や有機肥料として活用されている。4 さらに近年では、化石燃料の代替としてバイオディーゼル燃料の原料としても注目を集め、持続可能なエネルギー資源としての研究開発や実用化が推進されている。5
参考文献・出典
- 生物資源データ基盤: https://www.naro.go.jp/gene/index.html ↩
- 農研機構 農業技術基盤情報: https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/nias/index.html ↩
- 生物多様性センター: https://www.biodic.go.jp/ ↩
- 農林水産省: https://www.maff.go.jp/ ↩
- 資源エネルギー庁: https://www.enecho.meti.go.jp/ ↩