HEALTH WORDS / 用語解説
ツツガムシ病
ツツガムシ病とは、リケッチア科に属するOrientia tsutsugamushiによって引き起こされる急性の感染症であり、ダニ類の一種であるツツガムシの幼虫に吸血されることで感染する人獣共通感染症である。1
我が国においては法律上の4類感染症に定められており、医師は診断後直ちに届出を行う必要がある全数把握対象疾患である。2
病原体を保有するツツガムシの幼虫は、草むらや河川敷などの環境に生息しており、農作業や山菜採り、レジャーなどで野外へ立ち入った際に皮膚を刺されることが多い。3
ツツガムシの幼虫による刺し口は、皮膚の柔らかい部位に形成されやすく、中央部が壊死して黒色痂皮を形成するのが特徴的な臨床所見の一つである。1
潜伏期間は通常5日から14日程度であり、この期間を経た後に突然の発熱で発症し、頭痛や寒気、全身倦怠感などの非特異的な症状が強く現れる。3
発症から数日後には、躯幹を中心に紅斑性の発疹が現れ、これが四肢へと遠心性に拡大する傾向が認められる。1
診断においては、特徴的な皮疹や刺し口の存在に加え、患者の流行地への渡航歴や野外活動歴などの疫学的情報が極めて重要視される。3
実験室診断としては、血清学的検査による抗体価の上昇を確認する方法や、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)を用いた遺伝子検査による病原体の検出が行われる。3
治療には、テトラサイクリン系の抗菌薬やニューキノロン系の抗菌薬が第一選択として用いられ、早期に投与を開始することで速やかな解熱と症状の改善が期待できる。1
適切な治療を行わずに放置した場合には、血管炎の全身への波及により、髄膜炎や心筋炎、さらにはDICや多臓器不全といった重篤な合併症を併発し、死亡率が高まることがある。3
予防の基本は、ツツガムシの生息する地域へ立ち入る際に、長袖や長ズボンを着用して皮膚の露出を最小限に抑えることである。1
また、野外から帰宅した際には速やかに入浴やシャワーを行い、身体に付着した幼虫を洗い流すとともに、衣服の選択や洗濯を行うことが効果的な対策となる。1
さらに、DEETやイカリジンといった成分を含有する虫よけ剤を皮膚や衣服に適切に使用することも、吸血を未然に防ぐ上で有用な手段として推奨されている。3
参考文献・出典
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/tsutsugamushibyou/index.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-33.html ↩
- 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/tsutsugamushi-m/2229-idsc/relrt/2653-tsutsugamushi.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6