HEALTH WORDS / 用語解説
トリカブト属
Aconitum
トリカブト属とは、キンポウゲ科に属する多年草の総称であり、日本国内を含む北半球の亜寒帯から温帯にかけて広く分布している植物である。1
トリカブト属の植物は、その美しい花の形状から観賞植物として栽培されることもある一方で、根や葉などの植物体全体に強力な神経毒を含むことで広く知られている。2
日本国内においては、ヤマトリカブトやオクトウキなど複数の種が自生しており、春先の山菜採りの季節において、食用品種であるモミジガサやニリンソウなどの山菜と外見が似ていることから、しばしば誤食による食中毒が発生している。3
トリカブト属が含有する毒性物質の代表例として、アコニチン類に分類される各種のアルカロイドが挙げられる。2
これらの毒素は、ヒトや動物の神経系や循環器系に対して非常に強い生理活性を示し、中毒症状としては、口唇や舌のしびれに始まり、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状が現れる。3
症状がさらに進行した場合には、不整脈や血圧低下を引き起こし、最終的には呼吸筋麻痺による呼吸困難や心停止に至るなど、極めて致死率の高い中毒を引き起こす危険性がある。2
また、トリカブト属の根は、生薬の分野において「附子(ぶし)」または「烏頭(うず)」と呼ばれる重要な生薬の原料として利用されてきた歴史がある。3
しかし、これらの生薬は毒性が極めて強いため、そのままの状態で使用されることはなく、加熱処理などの適切な炮製(ほうせい)と呼ばれる減毒処理を経て、漢方薬における鎮痛薬や強心薬などの処方に配合される。2
医療の現場や薬事行政においては、その取り扱いに厳重な注意が払われており、医薬品としての安全性と有効性を確保するための規制対象となっている。3