HEALTH WORDS / 用語解説
ヒスタチン1
Histatin 1
ヒスタチン1とは、ヒトの唾液腺から分泌される富ヒスチジンタンパク質ファミリーに属する塩基性の小分子ペプチドであり、口腔内の生体防御において重要な役割を果たしている。1 2
ヒスタチン類は主に耳下腺および顎下腺の唾液中に見出され、その中でもヒスタチン1はリン酸化を受けたペプチドとして存在している。1
ヒトの口腔内は常に多様な細菌や真菌などの微生物にさらされているが、ヒスタチン1をはじめとするヒスタチン群は優れた抗菌活性および抗真菌活性を発揮することで、日和見感染症の予防や口腔内環境の恒常性維持に寄与している。1 2
特にカンジダ症の原因菌であるカンジダ・アルビカンスなどの真菌に対する強い生育阻害作用や殺菌作用が知られており、免疫システムを補完する自然免疫の一部として機能している。1 2
また、近年の研究においては、単なる抗菌ペプチドとしての側面だけでなく、創傷治癒を促進する生理活性を持つことも明らかにされている。1 2
口腔粘膜や歯肉などに損傷が生じた際、ヒスタチン1は細胞の遊走や増殖を促すことで、組織の修復プロセスを早める効果が期待されている。1 2
さらに、歯牙のエナメル質表面に対してペリクルと呼ばれる保護膜の形成に関与し、歯の脱灰を防いだり再石灰化を助けたりする鉱化制御への関与も指摘されている。1 2
このように、ヒスタチン1は唾液を介して口腔衛生を守るだけでなく、皮膚科学や歯科医学の領域においても創傷治癒薬や人工唾液などの医薬品・医薬部外品の開発ターゲットとして大きな注目を集めている生体分子の一つである。1 2