HEALTH WORDS / 用語解説
メカノセンサー
Mechanosensor
メカノセンサーとは、生体が受ける機械刺激を物理的シグナルから化学的または電気的シグナルへと変換する受容体、細胞、あるいは分子装置の総称である。1
生体組織や細胞は、常に重力、血流によるせん断応力、圧力、張力、接触といった様々な機械刺激に曝されている。メカノセンサーはこれらの物理的力を感知し、細胞内シグナル伝達系を介して様々な生理学的応答を引き起こす起点となる。
触覚、聴覚、痛覚などの感覚器における知覚だけでなく、血管の内皮細胞における血流の感知や、骨代謝におけるメカニカルストレスの受容など、全身の恒常性維持において極めて重要な役割を果たしている。2
分子レベルでのメカノセンサーの代表例としては、機械受容チャネル( mechanosensitive ion channel )が挙げられる。これらは細胞膜の張力の変化や膜の変形を直接感知して開閉し、イオンの透過性を変化させることで膜電位を変動させる。
また、細胞外基質と細胞を結合させるインテグリンなどの接着分子や、細胞骨格を構成するタンパク質もメカノセンサーとして機能することが知られている。これらは物理的な力が加わることで構造変化を起こし、結合する分子との親水性や相互作用を変化させることで、遺伝子発現の調節や細胞増殖・細胞遊走を制御する。
近年の分子生物学や細胞生物学の進展により、個々の細胞がどのように機械的環境を感知し応答しているのか、その分子メカニズムの解明が進められており、循環器病や筋骨格系疾患、がんの転移など様々な病態との関連性についても研究が続けられている。1
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002235948092288 ↩1 ↩2
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907038670876403 ↩