HEALTH WORDS / 用語解説
ラングゲルハンス細胞
Langerhans cell
ラングゲルハンス細胞とは、主として表皮に存在する樹状細胞の一種であり、皮膚における免疫系の維持や免疫応答の誘導において極めて重要な役割を担う細胞である。1
本細胞は1868年にドイツの解剖学者であるパウル・ラングゲルハンスによって表皮内で発見され、その名にちなんでラングゲルハンス細胞と命名された。2
発生学的には、胎児期における卵黄嚢や胎児肝臓に由来するマクロファージ系の前駆細胞が皮膚へと遊走し、表皮内で定着・分化することによって形成される。3
成人期においては骨髄由来の細胞ではなく、表皮内での自己増殖能によって細胞数が維持されているという特徴を持つ。3
形態学的には、細胞表面から周囲に向けて多数の突起を伸ばした樹状の姿をしており、この突起を介して表皮内を網羅するようにネットワークを形成している。1
細胞質内には、電子顕微鏡観察によって特徴的な棒状あるいはテニスラケット状の構造物であるバーベック顆粒が確認されることが、他の樹状細胞やマクロファージと区別するための重要な指標となる。2
機能面においては、皮膚の最外層に位置しているため、外界から侵入してくる病原体、ウイルス、細菌、アレルゲンなどの異物を最初期に捕捉する最前線の免疫監視機構として機能する。1
異物を貪食したラングゲルハンス細胞は活性化されると、表皮からリンパ管へと遊走し、皮膚を離れて所属リンパ節へと移動する。3
リンパ節へ移動する過程で成熟が進行し、細胞表面の分子発現が変化するとともに、捕捉した抗原のペプチド断片を主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子とともに細胞表面に提示する。3
このようにして抗原提示細胞としての能力を高めたラングゲルハンス細胞は、リンパ節内でナイーブT細胞などのT細胞と接触し、抗原情報を伝達することで獲得免疫応答の誘導を引き起こす。1
また、接触性皮膚炎などのアレルギー反応や、皮膚における免疫寛容の維持、感染症に対する防御機構においても、中核的な役割を果たしていることが明らかにされている。3
参考文献・出典
- 国立国会図書館インターネット資料収集事業(WARP): https://warp.ndl.go.jp/info:ndl/pid/11429916/www.niph.go.jp/soshiki/kansen/hard/en022.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/skin/17/3/17_262/_pdf ↩1 ↩2
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/53/7/53_690/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5