HEALTH WORDS / 用語解説
住宅
Housing
住宅とは、人が居住するための建築物またはその住戸を指し、個人の健康、生活の安定、および社会的福祉の基盤となる極めて重要な環境要因である。1 WHO(世界保健機関)が2018年に発表した住宅と健康に関するガイドラインにおいては、不適切な住宅環境が精神的健康や身体的健康に重大な悪影響を及ぼすことが指摘されている。2
住宅における室温や断熱性などの物理的環境は、居住者の健康状態と密接に関連している。1 特に、冬期における過度に低い室温や住居内温度差は、血圧の急激な変動を引き起こし、脳血管疾患や心血管疾患といった循環器疾患の発症リスクを増大させることが学術的に示されている。2 また、断熱改修等によって住宅の温熱環境を改善することは、高血圧の改善や活動量の増加など、健康寿命の延伸に寄与することが明らかにされつつある。1
さらに、住宅内の空気環境も健康被害を左右する重要な要素である。2 建材や家具などから発生する化学物質による室内空気汚染は、シックハウス症候群の原因となり、目の刺激感、頭痛、皮膚炎などの症状を引き起こすことがある。3 これを防ぐため、建築基準法ではホルムアルデヒドなどの化学物質の発散速度に応じた内装材の使用制限や、原則として24時間稼働する換気設備の設置が義務付けられている。4
加えて、住宅の気密性・断熱性の不足による結露の発生は、カビやダニの繁殖を促す温床となる。2 これらが産生するアレルゲンは、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の増悪要因となるため、適切な換気や湿度管理による衛生管理が不可欠である。2
このように、住宅は単なる雨風をしのぐための物理的空間を超えて、居住者の生命と健康を保護し、生活の質(QOL)を維持・向上させるための公衆衛生上の重要な社会基盤として位置づけられている。1
参考文献・出典
- 国土交通省: https://www.mlit.go.jp/common/001221443.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000538053.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kankyou/shiryo/index.html ↩
- 国土交通省: https://www.mlit.go.jp/jutaku/kenchiku/shikhouse.html ↩